技術の公知化とは

外為法上、貨物を輸出する場合には、リスト規制、キャッチオール規制といった規制の該当性を判断しなければならないことは、貨物の輸出を業として行っている法人や個人事業主の方に広く知られていることと思います。

また、大学や各種研究機関においては、共同研究や留学生の受け入れ等、外為法の規制該当性に関して非常に微妙な判断をする必要がある場面も多くあります。

本日は取扱いを間違いやすい(勘違いしやすい)事例をご紹介いたします。

 

1 事例

研究者Aは、会員制のセミナーにおいて研究成果の発表を行う予定である。Aの考えでは、この発表はいわゆる「技術の公知化」という枠組みであることから、外為法上の特例の適用があり、事前の許可の取得は不要であると考え、特段許可の取得をしていない。

このような研究者Aの考えは適切であるかどうか。

 

2 正しい対応

上記の事例では、Aが研究成果を発表する場所はあくまでも会員制のセミナーであり、セミナーへの参加は限定されております。そのため、当該発表については「不特定多数の者が入手又は閲覧可能」であるとは認められず「技術の公知化」には該当しないものと考えられます。

したがいまして、Aは、リスト規制への該非判定等、適切な輸出管理を実施する必要があり、仮に事前の許可が必要である技術に該当する場合には、外為法違反となりますので十分に注が必要です。

 

3 外為法の規制には十分ご注意ください

貨物を輸出する場合(及び技術を国際間で移転、提供する場合)には、外為法上の厳格な規制が存在します。

日本国内で購入したものであるから、海外に輸出しても問題ないと安易に考えることは非常に危険であり、日本国内で一般に販売されている物品であっても、海外に輸出する際には規制対象となる品目は多数存在します。

日用品として用いる小さな機械製品であっても大量破壊兵器や一般兵器に転用することが可能な場合は多数存在します。

また、外為法上の許可を取得することが煩雑であることから、安易に特例の適用があると判断することは非常にリスクの高い行為であるといわざるを得ません。

知らなかったでは済まされず、重大な犯罪行為(ひいては国際的な平和を損なう行為にもなりかねないことはくれぐれも気を付けるべきです。)となってしまい、違反した場合には重い刑事罰等も存在しますので、貨物を輸出する場合(及び技術を国際間で移転、提供する場合)において、外為法の規制内容に少しでも不安がある場合には、事前にご相談いただくことを強くお勧めいたします。

 

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