1 商品の仕様の修正を求めた場合の輸入申告価格
ある商品を海外から輸入する場合、輸入申告価格は、仕入れ代金が基礎となり、関税定率法等を踏まえ、加算する必要がある費用について加算することになります。
では、海外のメーカーが販売する商品の仕様の修正を求め、修正後の商品を輸入する場合、輸入申告価格はどのように考えるべきでしょうか。商品の仕様の修正に一定額の費用が発生し、当該アレンジ費用を日本に拠点を有する輸入者側が負担したとします。
輸入申告価格の基本的な考え方は、商品の売買価格を基礎として、当該価格に含まれていない限りで、関税定率法等に規定されている一定の加算要素を加算するというものです(関税定率法第4条第1項、同法基本通達4-2の2(1))。
この考え方の基礎にあるものは、輸入する商品の価値を申告してもらい、当該価値について関税等を課すということにあります。
少し乱暴な言い方をすると、輸入取引の過程で当該商品のために発生した費用は基本的には輸入申告価格に加算する必要があると考えておいた方が安心とすらいえます。
設例の場合ですと、商品の仕様の修正に一定額の費用が発生し、それを輸入者側が負担したとのことですので、当該費用も輸入申告価格に加算する必要があるものと考えられます。
通常の感覚では腑に落ちない部分もあるとは思いますが、あくまでも輸入申告価格とは、商品の仕入れ代金を申告するものではなく、当該商品の価値を適切に申告するという視点に焦点が当たっていると考えることが重要です。
2 輸入申告価格には、ご注意ください
貨物の輸入や輸出に関する規制は、関税法や関税定率法、それらの通達等に規定されておりますが、なかなか通常の感覚では理解できない部分も多く、また、あまり知られていないものの重要なルールも相当程度ございます。
例えば、貨物の輸入のために現地の人にサポートしてもらう場合、当該サポーターに支払う委託料については、例外的に買付代理人に対して手数料と構成できる場合は除き、輸入申告価格に加算しなければならない場合も多く、加算せずに輸入申告を行う場合には、過少申告となり、事後的に追徴課税が行われることとなります。
他にも、輸出入特有の規制は多数ありますので、可能であれば、事前に事業計画が法的に問題ないかどうかをリーガルチェックすることをお勧めいたします。
弊事務所は、税関事後調査を含む税関対応や輸出入トラブル、広告関連法務を中心に企業法務を幅広く扱っておりますので、お困りの点等ございましたら、まずはお気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。