本日は、私生活上の非違行為を理由とする解雇について判断した裁判例を紹介いたします。
私生活上の非違行為は、業務上の問題ではありませんので、解雇事由とすることは間違っているのではないかという考えがある一方で、私生活上の非違行為であっても、ニュース等で報じられる場合、会社にも大きな悪影響が生じる可能性が高いですので、当然に解雇事由に該当するとの考えもありうるところです。
以下のご説明をご参照いただけますと幸いです。
1 東京メトロ事件(東京地判平成27.12.15)
私生活上の非違行為を理由とする諭旨解雇が問題となった事案において、労働者の私生活上の非違行為も解雇の対象となり得ることを認めた上で、その基準について、「会社の企業秩序に直接の関連を有するもの及び企業の社会的評価の毀損をもたらすと客観的に認められるもの」である必要があると判示しました。
上記裁判例を踏まえると、原則として、私生活上の非違行為に対しては、会社の懲戒権は及びませんが、例外的に及ぶ場合もあるとの枠組みが考えられます。
そのため、私生活上の非違行為を理由として懲戒解雇を行う場合には、行為に対して過重な処分ではないか、また、社員に対して弁明の機会を付与しているかどうか、といったことを総合的に判断する必要があります。
そして、単に、私生活上の非違行為の結果、会社のイメージが下がったと思われる、というような理由で解雇をすることはできませんので、注意する必要がありる点は改めて認識すべきところです。
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、人事労務に関するご相談を幅広くお受けしております。
弁護士に相談をした方がよいかお悩みの方もいらっしゃるものと思いますが、お悩みをご相談いただくことで、お悩み解消の一助となることもできます。
日々の業務の中で発生する人事労務に関するご相談や、新しい労働関連法規の成立、修正により自社にどのような影響が生じているかを確認したいといった場合まで、人事労務に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。