従業員を解雇する場合には、解雇権濫用法理の適用があり、一定の制限が課されるということについては、(何となくではあっても)ご存知の方が多いのではないでしょうか。
もっとも、当該規律については、より具体的に認識しておいていただいた方が望ましいといえますので、本日は、解雇の要件である客観的に合理的な理由についてご紹介いたします。
ご参照いただけますと幸いです。
1 解雇における客観的に合理的な理由について
まず、上記のとおり、労働契約法16条の解雇権濫用に関する規定の適用にあたっては、まず、解雇について、客観的に合理的な理由が認められるかどうかを判断する必要があります。
ここで、客観的に合理的理由を欠く場合とは、解雇に相当する事由に該当する事実を書く場合を指します。
その判断においては、解雇事由とされた事実が実際に就業規則上の規定に該当することを前提に、当該解雇事由が、客観的に判断できる証拠に基づく客観的な事実であることが必要です。
以上を踏まえて、実際に該当しうる事由としては以下のものが考えられます。
①労務提供の不能、困難、不安定
②労働能力、技術、知識等の著しい欠如
③労務の著しい不適格(業務上の著しい不適格、協調性の欠如、不安全行動の常習、職場不適応)
④労務信頼性の著しい欠如、喪失(職務怠慢、業務阻害、重大損害招来等を含む)
⑤重大な規律、秩序、勤務義務違反
⑥重大又は反復の業務命令・職務遂行・守秘義務違反等
⑦企業又は従業員への著しい名誉、信用失墜行為
⑧社会的不当、不法行為(刑事事犯、重大な違法、セクハラ、パワハラ)
⑨経営用上の必要(人員整理、合理化による職種・業務の消滅・減少等)
⑩その他雇用を継続しがたいやむを得ない事由
実際の解雇の有効性の判断においては諸般の事情を総合考慮することになりますが、上記の各事由が判断において重要な要素となることは間違いないものといえます。
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