社員の私的事由への立入とパワハラ

昨今パワーハラスメント(以下「パワハラ」といいます)は社会全体の問題となっており、実際に、パワハラに関するご相談をお受けすることは多くなっております。
そこで、本日は、パワハラと認められる事由について、裁判例を踏まえてご紹介いたします。
以下の事案がそのままあらゆる場合に適用できるわけではなく、あくまでも社員の私的事由への立入りに関する判断となりますので、ご注意ください。

 

1 横浜地判平成2.5.29労判579・35(ダイエー事件)

(1)事案の概要
Y社の従業員が、Y社の取引先であるA社の監査役から賃借していた建物について、当該監査役がXに当該建物の明渡に応じるようにY1社の専務に協力を求めたところ、当該専務、Xの直属の上司Y2及び所轄人事部長Y3が、Xに対して人事権・考課権を盾に当該建物の明渡を強要し、Xがこれを拒否したために不当な人事考課をしたと主張して、Y1社らに対して損害賠償請求をしたという事案になります。

(2)判示
裁判所は、部下がすでにみずからの責任において、家主との間で自主的解決に応じないことを決断している場合に、会社の都合で上司が職制上の優越的地位を利用して、家主との和解ないしは明渡請求に応じるように執拗に強要することは、許された説得の範囲を超え、部下の私的問題に関する自己決定の事由を侵害するものであって、不法行為を構成するものというべきであると述べた上で、Y2がXに対し、人事上の不利益をほのめかしながら、少なくとも2か月間・計8回にわたり執拗に上記建物を上記監査y買うに明け渡すことを説得し続けたというのであるから、上司として許された説得の範囲を超えた違法な行為に該当するとして、Y2により不法行為を認定しました。

なお、Y3については、Xとの直接の接触が一回に過ぎなかった点で許容範囲内と判断しております。

 

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