従業員への年休付与、きちんとできてますか?

年次有給休暇、いわゆる年休は従業員にとって極めて重要な権利です。
このような年休取得の権利は、労働基準法39条で規定されており、従業員が、その雇入れの日から起算して6か月継続して勤務し、かつ、全労働日の8割以上出勤した場合に、当該従業員に対して認められます。
ここで、「全労働日の8割」という点に関して、会社全体の労働日を指すと勘違いをしている方がいらっしゃいますので、本日は、年休所得の要件である「全労働日の8割」の出勤に関して、ご説明します。

 

1 全労働日とは

全労働日とは、会社全体の労働日を指すのではありません。あくまでも、年休を取得しようとする当該従業員が労働契約上本来就労すべき労働日の全体のことを指しますので、注意が必要です。
例えば、正社員の労働日が週5日であり、パート従業員の労働日が週4日である場合、パート従業員の年休取得要件の充足性を考える場合には、正社員の労働日ではなく、当該パート従業員の労働日である週4日を前提に算定する必要があります。

 

2 出勤率の算定方法

全労働日の8割以上の出勤であるかどうかを考える際には、従業員の出勤日数を全労働日で除して算出します。ここでは、労働義務のない休暇日等は出勤日にも労働日にも含めないこととなります。
なお、使用者の責めに帰すべき事由により休業をした場合における休業日の取扱いについて、裁判所は、八千代交通事件(最判昭和25・6・6民集67・5・1187)において、全労働日に算入するとともに、出勤したものとみなす日として取り扱う旨を判示している点には注意が必要です。

当事務所では、労働問題・トラブルの予防策から、実際に生じた問題・トラブルへの対応まで、幅広く取り扱っておりますので、従業員による年休の取得に関する問題が発生した場合の対応等に関して、不安や悩みがある方、お困りのことがある方は、お気軽にご相談ください。

 

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