ご注意ください!~求人票の記載と実際の労働条件が異なる場合について~

求人時の募集労働条件と実際の労働条件が異なるといった問題をニュース等で聞いたことがある方、また、実際にそのような問題に直面した方もいらっしゃるものと思います。
本日は、求人票や求人広告の記載と実際の労働条件が異なるといった問題が発生した場合、企業にはどのようなリスクがあるかをご説明いたします。

 

1 企業の労働条件の明示義務と労基法違反について

まず、前提として、企業が採用予定者に対して具体的な労働条件を明示する場合にをご説明いたします。
企業には、労働条件の明示義務・周知義務が課されておりますので(労働基準法15条等)、企業が、労働者に対して明示した具体的な労働条件と実際の労働条件が異なる場合には、労働基準法違反として、労働基準監督署による行政指導の対象になります。
また、労働基準法では罰則規定も設けられておりので、労働者等から刑事訴追を求める告訴などがなされた場合には、労働基準監督署等が捜査を行い、場合によっては、刑事事件化する可能性もあります。

 

2 求人票や求人広告の記載と実際の労働条件が異なる場合について

職業安定法5条の3及びこれに基づく指針において、求人を行う会社等に対し、労働条件の明示が義務化されております。これに企業が違反した場合、ハローワークは求人不受理の措置を取ることになります。また、同法65条は、刑事罰を規定していますが、「虚偽の広告をなし、又は虚偽の条件を提示して、職業紹介、労働者の募集」「を行った者又はこれらに従事した者」等を刑事罰の対象として規定しております。
ここで、注意すべきこととしては、求人票は、あくまでも労働契約の誘因とされるものですので、求人票の段階では、例えば賃金額については、企業における現行賃金額を記載すればよく、実際に当該労働者に対して支給する確定額までを記載することまでは求められておりません。これが、上記1とは異なる点です。上記1は、あくまでも特定の労働者に対して確定の労働条件として労働条件を明示する場合であるのに対し、2は、求人票という形で不特定多数の労働者に対して労働契約の誘因として機能しておりますので、明確に分けて考える必要があります。
もっとも、求人票に労働条件を記載した場合でも、確定の労働条件として明示した場合には、当該条件が労働契約の内容となる可能性がありますので、注意が必要です。

当事務所では、労働問題・トラブルの予防策から、実際に生じた問題・トラブルへの対応まで、幅広く取り扱っておりますので、新たに従業員を募集する際に明示すべき労働条件の内容等に関して、不安や悩みがある方、お困りのことがある方は、お気軽にご相談ください。

 

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

03-5877-4099電話番号リンク 問い合わせバナー