人事考課とパワハラ

これまで本コラムにおいて、パワハラの代表的な事案についてご紹介してまいりました。
パワハラの態様は様々なものがあり、全ての事案を詳細にご紹介することは難しいですが、代表的な事案だけでも把握することは非常に重要です。
そこで、本日は、社員に対する人事考課とパワハラに関して参考となる事案をご紹介いたします。ご参照いただけますと幸いです

 

1 東京地判平成7.12.4労判771・32(バンクオブアメリカイリノイ事件)

(1)事案の概要
勤務先Y社の管理職だったXが、Y社がXに対して行った降格とその後の配転という一連の嫌がらせ行為は、Xら中高年管理職を退職に追い込む意図をもってなされた不法行為であるとしてY社に対して損害賠償請求をした事案です。

(2)判示
上記降格については、Y社において、新経営方針の推進・徹底が急務とされていたことから、これに積極的に協力しない管理職を降格する業務上・組織上の高度の必要性があったことなどを理由に、Y社の裁量権を逸脱したものとは言えないと判断しましたが、その後の総務課への配転については、総務課の受付は、それまで20代前半の女性の契約社員が担当していた業務であり、外国所感の受発送、書類の各課への配送等の単純労務と来客の取次ぎを担当し、業務受付とはいえ、Xの旧知の外部者の来訪も少ない職場であって、勤続33年に及び課長まで経験したXにふさわしい職務であるとは到底言えず、Xが著しく名誉・自尊心を傷つけられたであろうことは推測に難くなく、Xに対する総務課への配転は、Xの人格権を侵害し、職場内外で孤立させ、勤労意欲を失わせ、やがて退職に追いやる意図をもってなされたものであり、Y社の裁量権を逸脱した違法なものであるとして、Y社の不法行為を認定しました。

 

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