以前のコラムにおいて、賃金支払確保法における未払賃金の立替払制度をご紹介いたしました。
この点関連して、基準退職日に関する判断を示した裁判例をご紹介いたします。
ご参照いただけますと幸いです。
1 豊中管財・茨木労働基準監督署長事件(大阪地判平10・7・29労判747・45)
【判示の概要】
未払賃金立替制度は、労災保険の適用事業に該当する事業の事業主が破産の宣告を受け、その他賃確令で定める事由に該当することとなった場合において、当該事業に従事する労働者で、賃確令で定める期間内に当該事業を退職した者に係る未払賃金を一定の範囲内で国が労働者に対して支払う制度である。
そして、企業倒産等に伴う労働者の保護という賃確法の立法趣旨からするときは、右基準退職日の退職とは、契約期間満了による自然退職や労働者の意思に基づく任意退職のみならず、解雇その他により雇用契約が終了する場合や、法律上は雇用契約の明確な終了原因が存しない場合であっても労働者が事実上就労しなくなった場合も含まれると解すべきである。けだし、このような場合には、労務提供の受領拒絶は事業主の責に帰すべき事由によるものであるから、労働者が自ら解約の申出をしない限り、未払賃金は増大してゆくのであって、これを全て立替払の対象にすることは、現に就労していない労働者の保護として明らかに行き過ぎであり、ひいては未払賃金立替払制度の健全な運営を阻害することとなるからである。
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