賃金制度の変更と黙示の承諾について

本コラムにおいては、労働者の賃金に関する裁判例をいくつかご紹介してまいりました。
本日は、会社が歩合給制を導入した後に、退職した従業員から歩合給制への変更は無効であり、変更前の賃金制度に基づく退職金の請求がなされた事案に関する裁判例をご紹介いたします。
ご参照いただけますと幸いです。

 

1 大阪地判平14・7・19(労判833・22)

【判示の概要】
歩合給制の導入には合理的な理由があり、またこれの導入によって賃金額が上がった従業員もおり、歩合給制の導入が直ちに従業員に不利益な賃金体系であるということもできないし、歩合給制が導入され、これに基づく賃金が支給された後も原告らを含む従業員から苦情や反対意見が述べられたとの事情はうかがわれず、むしろ、営業社員の中には成果主義導入を歓迎する者もいた(被告本人兼被告会社代表者松岡)のであるから、原告らは歩合給制導入を認識し、歩合給制に基づいて計算された賃金を受領することにより歩合給制の導入を黙認していたというべきである。
また、平成12年11月の基本給減額についても、賃金を使用者が一方的に減額することは認められるものではないが、原告らはいずれも減額された賃金を受領しており、基本給の減額については黙示に承諾していたものというべきである。
この点、原告らは、生活のために賃金を受領していたにすぎない旨主張するが、原告らが基本給減額時に被告会社に抗議した等減額を拒絶した等の事情を認めるに足りる証拠は全くない。
したがって、歩合給制導入及びその後の基本給減額が無効であるとの原告らの主張は採用できない。

 

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