賃金の調整的相殺について

「ある月の給料を多く払いすぎたので、翌月の給料をその分少なくして支給しようと考えているので、このような取扱いは問題ないでしょうか。給料の合計支給額は同じなので問題ないと考えているのですが、念のため確認したいのですが。」、というご相談をお受けすることがあります。
以上のご質問は、賃金の調整的相殺に関するご相談であるものと思われます。

そこで、本日は、賃金の調整的相殺の考え方についてご紹介いたします。ご参照いただけますと幸いです。

 

1 賃金の調整的相殺について

上記のご相談においては、ある賃金計算期間内に賃金の過払いが生じた場合、当該過払い分を、その後の賃金から控除して支払うことが全額払い原則違反とならないかが問題となっております。
これは、法的には、過払い賃金について使用者が有する不当利得返還請求権を自働債権とし、労働者の賃金債権を受働債権とする相殺に該当します。

この点については、福島県教祖事件(最判昭和44・12・18民集23・12・2495)は、労働基準法24条1項但書の例外に該当しなくとも、賃金過払いの不可避性や賃金と無関係の債権を自働債権とする相殺とは異なることを考慮して、適正な賃金の額を支払うための手段たる相殺は、その行使の時期、方法、金額等から見て労働者の経済的生活の安定を脅かす恐れのない場合には、全額払い原則違反とならないと判示しました。

 

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