ECサイトの利用の拡大や副業の推進等により、輸入や輸出に関わる個人、法人は増加傾向にあります。
そこで、本日は、輸入トラブルによって裁判まで発展した事案である、東京地判平成30年2月20日(LLI/DB 判例秘書登載)をご紹介いたします。
このページの目次
1 事案の概要
Xが、輸出入代行業等を目的とするYとの間で、①XがYから株式会社A製の農業用トラクターを購入し、Xを輸出者とする旨の合意を締結し、②本件契約に基づき,Yが取引業者に指示して、農業用トラクターをイランへ輸出する旨の合意をしたところ、Yが、本件個別合意に反して、船荷証券の記載を偽るなどして、農業用トラクターをイラクへ輸出しようとしたこと等に関し、Yに対して本件契約及び本件個別合意の債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償請求を行った事案です。
2 裁判所の判断
①前記認定の事実によれば、本件製品の売買契約は、当初より本件製品をイラクへ輸出する目的で締結されたものであると認められる以上、本件製品が、本件製品をイラクへ輸出することを前提とした手続がとられたことに関し、Yに本件個別合意の債務不履行又は不法行為が成立する余地はなく、Xの主張には理由がない。
②XとYとの間で、本件製品の輸出先がイランであると合意されたとは認められず、これに関するXの主張は採用できない。そのため,その余の争点について検討するまでもなく、本件個別合意に関する債務不履行及び不法行為に関するXの請求には理由がない。
3 輸出や輸入のトラブルにはご注意ください
輸出や輸入に関しては、通常の売買とは異なる習慣や法規制が存在しますので、通常の売買と同じイメージをもち対応を行うと思わぬ部分で足元をすくわれてしまうリスクがあります。
輸出代行や輸入代行の利用は拡大しておりますが、それに伴い様々なトラブルが発生しております。便利なサービスである一方で、利用する際には適切な対応を期待することができるかどうかを慎重に検討する必要がある点には注意が必要です。
輸出や輸入という特別な取り扱いを行っていることを踏まえ、どのようにすればトラブルを回避することができるかを事前に把握した上で対応を行うことが非常に重要です。自社の輸出や輸入に関するフローが適切かどうかを再度確認いただくとともに、必要に応じて専門家にセカンドオピニオンを求める等、万全の態勢をトラブル発生前に構築しておくことが重要です。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。