労働条件は、労使間で合意をすればよく、最終的には個別の労働者と合意を締結すれば、どのような労働条件であっても規定することができるはずである、という誤解をされている方がいらっしゃいます。
労働条件は労使間で個別の合意をすることが、労働条件の一つの決定方法であることは間違いありませんが、とはいえ、個別の合意をすればどのような条件でも規定することができるわけではありませんので、注意が必要です。
以下、労働者の個別合意に基づく労働条件の不利益変更について、ご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。
1 労働者の個別合意に基づく労働条件の不利益変更について
労働契約法8条において、会社は、社員の合意を得ることで、労働条件を社員に不利益になるように変更することが出来ます。
もっとも、ここにいう労働者の合意は、労働者の自由な意思に基づく必要があります。
特に、労働者にとって、重要な労働条件である賃金や退職金に関する不利益変更について労働者の同意を取得する際には、留意が必要です。
この点に関し、判例では、就業規則に規定されている労働条件についても、個別の合意により労働者の不利益に変更できることを認めつつ、賃金や退職金に係る労働条件の不利益変更への労働者の同意については、それが労働者の自由な意思に基づいてなされたと認めるに足りる客観的かつ合理的な理由の存在を認めており、具体的には、①労働者の受ける不利益の内容及び程度、②労働者により同意がされるに至った経緯及びその態様、③労働者の同意に先立つ労働者への情報提供または説明の内容が斟酌されるべきであると判示しています。
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