海外旅行者が非常に多くなった昨今、意図的にせよ、意図的でないにせよ、間違った形で貨物を輸入してしまい、犯則事件に発展するケースが後を絶ちません。
間違った形で貨物を輸入することは、要するに脱税を行っているということであり、決して行ってはいけないということは言うまでもありません。場合によっては刑事事件に発展する可能性もありますので、決して『魔が差した』等として安易に行うようなことではないことにはくれぐれも注意が必要です。
1 令和4事務年度における関税等脱税事件に係る犯則事件
令和3事務年度は、該当の犯則事件数は39件だったものの、令和4事務年度においては、海外旅行の再開等の影響か、169件まで増加しました。
この内、告発まで進展したケースは3件、通告処分で終わったケースは166件です。
また、脱税額については、告発分にかかる内国消費税は1650万円です。
他方で通告処分にかかる関税額は747万円であり、内国消費税分は1億8882万円でした。
貨物を輸入する際に関税を支払う必要があるということは、なんとなく知っている、という方も多くおりますが、内国消費税も支払う必要があるということはあまり知らない方もいらっしゃいます。海外で購入したものを日本に持って帰ってきただけであるのに、なぜ内国消費税を支払う必要があるのか疑問に思う方もいると思いますが、日本国内に持って帰ってくることで課税対象となる点には十分に注意が必要です。
2 輸入手続は適切に行うことが必要です
海外旅行も再開され、今後非常に多くの方が海外に行かれるものと思います。
輸入や輸出を日常的に事業として行っている方の場合には、ある意味常識的な内容となりますが、そうでない方にとっては、輸入手続は非常に特殊なものですし、また、輸入手続における様々なルールは、場合によっては奇異な内容とすらいえる場合もあります。
もっとも、ルールを知らないからルールを破ってもしょうがない、ということにはなりません。法律上は、ルールを適切に把握していることが前提となりますので、ルールを知らなかったからしょうがないということにはなりません。
例えば、個人使用目的であったとしても、貨物の種類によっては持参可能な数量に制限があります(酒類やたばこ等)。
知らなかったでは済まされませんし、仮にトラブルとなってしまった場合には適切に対応をし、極力大事にすることなく解決を図ることが肝要です。
ご不安な点がある場合や、トラブルが発生してしまった場合には、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。