みなし労働時間制の適用が認められるかどうかが問題となった裁判例

本コラムにおいては、労働者の労働時間に関する裁判例をいくつかご紹介してまいりました。
本日は、みなし労働時間制の適用が認められるかどうかが問題となった裁判例をご紹介いたします。
ご参照いただけますと幸いです。

 

1 ハイクリップス事件(大阪地判平20・3・7労判971・72)

【判示の概要】
みなし労働時間制は、単に労働者が事業場外で業務に従事しただけでなく、労働時間を算定し難い場合に適用されるところ(労働基準法38条の2第1項本文)、被告は、タイムシートを従業員に作成させ、始業時刻や終業時刻を把握していただけでなく、どのような業務にどのくらいの時間従事したかも把握していたこと、に電子メール等の連絡手段を通じて業務上の連絡を密にとっていたものと認められること、タイムシートには、みなし労働時間制の適用を前提とした画一的な始業時刻と終業時刻を記載するよう指示するのではなく、原則として実際の始業時刻と終業時刻を記載するよう指示していたことからすると、原告について、労働時間を算定し難い状況があったとは認められない。
よって、みなし労働時間制、(労働基準法38条の2)の適用はない。

以上のとおり、本裁判例においては、労働時間を算定しがたい状況にあったといえるかどうかを、客観的な資料、状況を踏まえて判断し、結論としてみなし労働時間制の適用を否定いたしました。
他の事案でも考え方が参考となる裁判例といえます。

 

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