マタニティハラスメント(以下「マタハラ」といいます)についての問題が顕在化されることが昨今増えてきております。
企業にとっては、パワハラやセクハラへの対応と同じく、このようなマタハラへの対応を適切に行うことが非常に重要です。
そこで、本日は、マタハラについての裁判例をご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。
1 広島中央保健生協事件(広島高判平成27年11月17日)
(1)争点
妊娠中の従業員が、軽易な業務への転換に際して副主任を免ぜられたことが男女雇用機会均等法9条3項に違反して無効となるか否かが主要な争点となりました。
(2)判示
裁判所は、以下の2つの法令を検討の前提としました。
まず、労働基準法65条3項は、使用者は妊娠中の女性が請求した場合には、他の軽易な業務に転換させなければならないと規定されております。
次に、男女雇用機会均等法9条3項は、女性労働者の妊娠、出産、産前産後の休業その他の妊娠又は出産に関する事由であって厚生労働省令で定めるものを理由として、解雇その他の不利益な取扱いをしてはならないと規定しておりますが、不利益な扱いを禁止された事由には、労働基準法65条3項により他の軽易な業務に転換するよう請求したこと、又は他の軽易な業務に転換したことも含まれております(男女雇用機会均等法施行規則2条の2第6号)。
そして、裁判所は、妊娠中の経緯業務への転換を契機として降格させる事業主の措置は、原則として禁止する取り扱いに該当すると判断しました。
その上で、裁判所では、このような不利益取扱いの違法性阻却事由である「労働者の自由な意思に基づく承諾」又は「業務上の必要性からの支障」の有無を検証しましたが、いずれも否定する判断をしました。
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