過少申告加算税と重加算税の違いと防止策

税関からの調査の結果、追徴課税が発生した際、多くの輸入者が驚くのが「関税とは別に加算税も課される」という点です。

加算税は、輸入申告の誤りに対して課される追加的な税金であり、悪質性の有無によりその税率や評価が大きく変わります。

今回は、「過少申告加算税」と「重加算税」の違いと、それらを防ぐために企業として講じるべき対策について解説いたします。

 

1 加算税とは何か?

加算税とは、関税法上の申告ミスに対して科される行政的なペナルティであり、主に以下の2種類が存在します。

①過少申告加算税(10%):単なるミスや過失によって課税価格等が低く申告されていた場合

②重加算税(35%):意図的に虚偽申告や隠蔽を行ったとされる場合

いずれも、関税・消費税に加えて課税されるため、事実上の「追徴金額」はかなりの金額に膨らむ可能性があります。

 

2 過少申告加算税の適用場面

過少申告加算税は、以下のような「過失に基づく誤り」が典型例です。

①HSコードの誤適用(類似品と取り違えた)

②インボイス価格の入力ミス

③原産地証明書の形式不備

④複雑な関税評価方法の理解不足による申告ミス

申告内容に明確な虚偽や隠蔽の意図がない場合でも、「結果的に関税が不足していた」として加算税の対象となります。

 

3 重加算税の適用場面

重加算税は、より重大な違反があった場合に適用されます。具体的には、

①故意にインボイス価格を低く改ざん

②複数のインボイスを使い分けて虚偽申告(いわゆる「二重価格」)

③本来の原産地を偽って関税を免れようとした

④税関調査時に帳簿や資料を隠蔽、破棄した

これらの行為は、税関側から「隠蔽または仮装行為」と認定され、通常よりも厳しい税率(35%)が課されるほか、刑事告発の可能性も生じます。

 

4 防止策:社内体制と申告チェックの強化

加算税を回避・軽減するためには、日頃から以下のような取り組みが有効です。

①商品ごとのHSコードと関税率の社内台帳整備

②原産地・インボイスの内容と申告価格の照合ルール化

③輸入部門と経理部門の連携強化

④定期的な専門家(弁護士・通関士)によるレビュー

⑤税関からの照会に対する速やかな対応

特に、重大な問題になる前に自主的な修正申告を検討することも非常に重要です。

 

過少申告加算税と重加算税は、どちらも企業にとって大きな経済的・信用的ダメージとなります。

ただし、その発生には明確な違いがあり、適切な社内管理と早期対応によって、十分に防止・軽減が可能です。

当事務所では、申告ミスのリスク診断、加算税対応、修正申告支援、不服申立てなどを一貫してサポートしております。税関からの指摘や加算税の通知にお困りの際は、ぜひ早めにご相談ください。

 

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