貨物の輸入時に行う納税申告が過少申告であった場合には、通常過少申告加算税が課されることとなりますが、過少申告であったことについて「正当な理由」がある場合には、過少申告加算税は課されません。
過少申告加算税が課されない「正当な理由」については、関税法第12条の2第3項、関税法基本通達12の2-1に規定されておりますので、本日は、当該規定の概要について、ご紹介いたします。
1 「正当な理由」の意義
まず、「正当な理由」の意義についてですが、当初の納税申告が過少であったことについて、真にやむを得ない事由があると認められ、加算税を課すことが不当又は酷になる場合のことを指します。
そのため、輸入者による法令の不知や適用の誤り、貨物の内容を誤解していたような場合や単純なミスに起因するものは「正当な理由」には該当しないと考えられます。
2 「正当な理由」に該当する具体的な事情
具体的には、例えば、以下の①から④のような場合が「正当な理由」に該当すると考えられております。ただし、「正当な理由」、すなわち過少申告に関して真にやむを得ない事由があるか否かの判断は、あくまでも個々の事情に応じて判断されることになりますので、ご注意ください。
①納税申告に関して必要な輸入貨物に係る関税率表の適用上の所属、税率及び課税標準等について、輸入者等から十分な資料の提出等があったにもかかわらず税関職員が輸入者等に対して誤った教示等を行い、輸入者等がその教示等に従っていたもので、輸入者等がその教示等を信じたことについて真にやむを得ないと認められる事情がある場合
②新規商品であるため、その分類を確定し適用税率を決めることが多大な困難を伴う場合
③輸入許可後にやむを得ない事情により課税価格に変更があり、速やかに修正申告が行われた場合
④輸入者に課税標準の確定に日時を要する事情があり、関税法第73条第1項に規定する税関長の承認を受けて貨物が引き取られた場合で、輸入の許可前に輸入者からの申し出に基づいて課税標準を確定したことによる場合
なお、過少申告加算税について、「正当な理由」がある場合、修正申告又は更正により納付すべきこととなる税額のうちに、過少申告であったことについて「正当な理由」があると認められる部分に限って、過少申告加算税が課されないことになります。
過少申告加算税全体が課されないことになるわけではありませんので、ご注意ください。
以上、過少申告加算税が課されない「正当な理由」の概要をご紹介いたしました。
当事務所では、代表弁護士が通関士資格を有しており、輸出入や通関に関して豊富な知識・対応経験を有しております。
過少申告加算税が課されない「正当な理由」に関して、もう少し詳しい考え方を知りたいといったご相談や実際に加算税を課されてしまって困っているといったご相談等を幅広く承っておりますので、過少申告加算税を含む各加算税に関して、少しでも不安や悩み、気になる点がある方は当事務所までお気軽にお問い合わせください。