海外から日本に貨物を輸入する場合に、関税を支払う必要があることは皆さまご存知かと思います。
ただ、関税を規定する税率には複数の種類があることまではご存知ない方も多いのではないでしょうか。
そこで、本日は、税率の種類の概要をご紹介いたします。
海外から日本に貨物を輸入されている方や、今後輸入することを考えている方は、ご一読いただけますと関税のイメージが膨らむものと思われます。
このページの目次
1 基本税率
基本税率とは、協定や法令で特別な定めのない限り適用されることになる原則的な税率のことを指します。もっとも、2以下の税率が適用されることが大半ですので、現在基本税率が適用されるのは、東ティモール、北朝鮮、赤道ギニア、レバノン等の数か国のみとなっていると考えてよいでしょう。
なお、一定の政策上の必要性等を踏まえ、基本税率を一定期間に限り修正する暫定税率が設定される場合もあります。
2 WTO協定税率
WTO加盟国(加盟地域を含む)、及び日本との間の条約で最恵国待遇を約束している国からの貨物に対し、それ以上の関税を課さないことを約束している税率を指します。
なお、WTO協定外の国や地域の場合でも、相互主義等を踏まえ、協定税率が適用される場合もあります。
3 一般特恵税率(GSP税率)
開発途上国で、特恵税率の適用を希望する国のうち、日本が、特恵税率の適用が妥当であると認めた国を原産地とする輸入貨物に対して適用される税率を指します。
開発途上国の所得の増大、経済発展の促進等を図るため、開発途上国から輸入される一定の農水産品、鉱工業産品に対し、一般の関税率よりも低い税率が規定されております。
4 特別特恵税率(LDC税率)
上記3の一般特恵税率の適用がある国の内、後発開発途上国(LDC)を原産地とする輸入貨物に対して適用される税率です。税率は全て無税となります。
5 協定特恵税率(EPA税率)
日本と経済連携協定(EPA)を締結している国から輸入する貨物を対象とし、それぞれの協定に基づいて適用される税率です。
それぞれの協定の原産地規則の条件を満たすこと等により適用されます。
以上のとおり、関税といっても、具体的な関税額を算出するための税率には複数の種類があります。
輸入貨物について、どのような税率を利用することができるかを検討し、最も有利な税率となるよう判断する必要があります。このような判断を行うことも輸入をビジネスとする上では必須といえるでしょう。
当事務所では、代表弁護士が通関士資格を有しており、輸出入や通関に関して豊富な知識・対応経験を有しております。輸入する貨物に適用となる税率に関して、確認して欲しい等のご相談も承っておりますので、輸入する貨物の税率について、少しでも不安や悩み、気になる点がある方は当事務所までお気軽にお問い合わせください。