仮眠時間が労働時間に該当するか、という問題は従前から議論がありました。
普通に考えると、仮眠時間はあくまでも仮眠しており労働に従事しているとはいえないので、労働時間に該当するとは考えられないのではないか、とも考えられるところです。
しかしながら、仮眠時間も労働時間該当すると判断される可能性は十分ありますので、注意が必要です。
本日は、仮眠時間の労働時間該当性に関して参考となる裁判例をご紹介します。
1 大星ビル管理事件(最判平成14.2.28民集56.2.361)
この判例では、仮眠時間の労働時間該当性に関して、以下のとおり判示いたしました。
①不活動仮眠時間であっても、労働からの解放が保証されていない場合には労働基準法上の労働時間に該当するというべきである。
そして、当該時間において労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価される場合には、労働からの解放が保証されているとはいえず、労働者は使用者の指揮命令下に置かれているのが相当である。
②本件仮眠時間中、労働契約に基づく義務として、仮眠室における待機と警報や電話等に対して直ちに相当の対応をすることを義務付けているのであり、仮眠時間は全体として労働からの解放が保証されているとはいえず、労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価することができる。
以上の判例を踏まえると、「労働からの解放」が保証されているかどうかが重要であるという点がわかります。
仮眠時間は一切労働に従事する必要がなく、またその可能性もないことが保証されていれば労働時間には該当しないものと考えられますが、仮眠時間とはいえ、何かあれば労働に従事する可能性があるということであれば労働からの解放が保証されているとはいえませんので、労働時間に該当する可能性が高まるものと考えられます。
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