解雇が無効と判断された場合、従業員は復職することになりますが、解雇時から復職時までの賃金をどのように考えるべきかについては、経営者は正確に理解しておくことが必要です。
というのも、解雇の有効性が裁判で争われた場合、数年にわたり裁判が行われる可能性があるところ、従業員の賃金額によっては、解雇が無効であると判断された場合に、当該従業員に対して支払うべき賃金の額が多額となる可能性があるため、経営者としては正確に当該賃金の額を把握した上で対応を検討する必要があるからです。
以下で、ご説明いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。
1 解雇が無効である場合の賃金の請求
解雇が無効である場合、解雇時から復職時までの間に他所で賃金等を受けていない場合には、民法536条2項に基づき、解雇時から復職時までの未払賃金(いわゆるバックペイ)を請求することができます。
解雇期間中に他所で収入を得た場合には、その収入については、損益相殺を行うことになります(同条項ただし書き)。
この場合の償還方法については、賃金全額払いの原則(労働基準法24条)の例外として、保証賃金から中間収入額を控除した残額を支払うといった対応を取ることが認められております。
また、中間収入を控除する場合には、労働基準法26条の規定に沿った取扱いをする必要がありますので、注意が必要です。
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