「インターンシップ」との用語は多義的に用いられることがありますが、以下では、文部科学省が公表している、「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」中で規定されている定義である、「産学連携による人材育成の観点から、学生に就業の機会を提供するものであり、社会貢献活動の一環と位置付けられる」という意味で用いることとします。
皆様ご存知のとおり、学生によるインターンシップ(以下、インターンシップを利用して企業で活動する学生を「インターンシップ生」といいます。)は、業界を問わず、幅広く行われております。
このような学生によるインターンシップについては、様々な法的問題が議論されているところですが、本日はインターンシップ生の法的地位の考え方をご紹介します。
このページの目次
1 インターンシップ生は、法令上、労働者に該当する可能性があります!
インターンシップ生の法的地位については、
①インターンシップは教育活動の一環であるので、インターンシップ生は労働者とは判断されない場合、
②実習の態様等から判断して労働基準法上の労働者とみなされる場合、
があります。
仮に、インターンシップ生が労働基準法上の労働者と判断される場合、企業は、インターンシップ生の取扱いについて、労働基準法や最低賃金法等の労働関連の法令を遵守する必要が生じるため、注意が必要です。
2 労働基準法上の労働者性の判断枠組み
労働基準法上の労働者性の判断は、①仕事の依頼への諾否の自由の有無、②業務遂行上の指揮監督権の有無、③勤務時間・勤務場所の拘束性の有無、④他人による代替性の有無、⑤報酬が時間単位で計算される等の報酬の労務対償性の有無、⑥事業者性の有無、⑦公租公課の負担等、を総合的に考慮して判断されますので、ケースバイケースで判断していくしかありません。
また、インターンシップ生に関するこの判断について、労働省(現在の厚生労働省)の行政通達(平成9年9月18日基発636号)では、以下のとおり説明しておりますので、当該説明も踏まえて、インターンシップ生の労働者性について個別具体的に判断することが必要となります。
「一般に、インターンシップにおいての実習が、見学や体験的なものであり使用者から業務に係る指揮命令を受けていると解されないなど使用従属関係が認められない場合には、労働基準法第9条に規定される労働者に該当しないものであるが、直接生産活動に従事するなど当該作業による利益・効果が当該事業場に帰属し、かつ、事業場と学生の間に使用従属関係が認められる場合には、当該学生は労働者に該当するものと考えられる」。
3 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、人事労務を幅広く取り扱っておりますので、インターンシップ生の取扱い等に関してご不安な点やご不明な点等ございましたら、ご遠慮なくお問合せください。