HSコードの誤記とその法的リスク

輸入手続きにおいて重要な役割を果たすのが「HSコード(Harmonized System Code)」です。これは世界共通の品目分類コードで、関税率の決定や、統計処理の基礎にもなっています。このようなHSコードを誤って申告すると、いわゆるアンダーバリューの状況となり、脱税とみなされるリスクがあります。

今回は、輸入事業者が知っておくべきHSコードの仕組みと、誤記による法的リスクについてご紹介します。

 

1 HSコードとは?

HSコードは、国際的に統一された品目分類システムで、6桁の基本コードをもとに、各国が細分化したコード(日本では最大9桁)を使用しています。たとえば、類似の「革製のバッグ」であっても、素材や用途によって対応するコードが異なり、それに応じて関税率も変わるのが特徴です。

この違いが申告価格や通関手続きに大きく影響します。

 

2 なぜHSコードの誤記が問題になるのか?

HSコードの誤記には大きく分けて以下の2パターンがあります。

(1)意図しない誤記

輸入者が商品内容を正確に把握しておらず、誤って類似のコードを使用してしまうケースです。

この場合でも、結果として過少申告となれば追徴課税の対象となり、一定の場合には過少申告加算税(10%)等が課されます。

(2)意図的な低税率コードの使用

より低い関税率のコードを故意に利用して輸入申告を行い関税を逃れるケースは、いわゆる脱税に該当しますので、税関から「重加算税(35%)」や、関税法違反による刑事告発の対象とされる可能性があります。特に、継続的に同じ誤りをしている場合には厳しい対応が予想されるところです。

 

3 税関事後調査で発覚するリスク

税関は、輸入完了後一定期間が経ってから帳簿や申告内容を調査できる権限を有しています。

いわゆる税関事後調査では、HSコードの妥当性についても厳しく精査され、例えば、同業他社と異なるHSコードの利用が続いている場合などは疑念が強くなります。

 

4 対応策:正確な分類と相談体制の整備

HSコードは必ずしも自明ではなく、判断が難しいケースも多々あります。

そのため、以下のような対応が重要です。

①商品の仕様書・カタログ・写真などの証拠資料を整備する

②不明な場合は税関の「事前教示制度」を活用する(無料で分類の照会が可能)

③輸入量が大きい場合は、対応経験のある弁護士等に事前確認を依頼する

 

HSコードの誤記は「単なるミス」で済まされるとは限りません。

ときに悪質と判断され、事業継続に深刻な影響を及ぼすケースも十分あり得るとことです。輸入ビジネスの信頼性を高めるためにも、HSコードの適切な理解と、正確な申告体制の構築が不可欠です。

当事務所では、輸入手続きや税関対応に関する法務アドバイスを数多く取り扱っております。HSコードに関する不安や、事後調査の対応準備など、お気軽にご相談ください。

 

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