Archive for the ‘コラム~通関手続、輸出入トラブル~’ Category
運賃と課税価格について
本日は、運賃と課税価格についてご紹介いたします。
些末な話だと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、貨物の輸入をビジネスとして行っている方にとっては、貨物の運賃は必ず発生する費用であり、運賃と課税価格は密接な関係性をもつものです。
そのため、一回ごとの運賃はたいしたことなくても、回数を重ねると相当程度の金額となりますので、注意が必要です。
以下、ご参照いただけますと幸いです。
1 運賃と課税価格について
まず、輸入貨物の課税価格は、現実支払価格にその含まれてない限度において運賃等の加算要素の額を加えた価格(取引価格)によることを原則としております。
そして、「輸入貨物が輸入港に到着するまでの運送に要する運賃、保険料その他当該運送に関連する費用」は加算要素の一つとされております。
ここで、「輸入港に到着するまでの運送に要する運賃」とは、原則として、輸入貨物を輸入港まで運送するために実際に要した運送費用のことを指します。
仮に、複数の輸入貨物に係る運賃が一括して支払われる場合には、原則として、個々の輸入貨物に関連する額を案分して当該輸入貨物の課税価格に算入することになるので、注意が必要です。
具体的には、運賃の案分は、運賃の算定基準(従量、容積等)によって行われることになります。
運賃と課税価格の考え方として、たまに問題となるのは、運送途上の日本の港で外国貿易船から他の外国貿易船に船移しがされた場合の課税価格への加算の考え方です。
この点については、課税価格に加算すべき運賃は、外国貿易船から船卸されるまでの運賃であり、外国貿易船から他の外国貿易船への船移しは、日本の港に船卸したわけではありませんので、特段考慮しないことになります(すなわち、最終的に日本の港で船卸されるまでの運賃が課税価格に加算されます。)。
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
弁護士に相談をした方がよいかお悩みの方もいらっしゃるものと思いますが、お悩みをご相談いただくことで、お悩み解消の一助となることもできます。
輸出・輸入や通関に関するトラブル、税関事後調査を含む税関対応等でお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。
関税率表の解釈に関する通則1、2(a)、2(b)について
本日は、関税率表の解釈に関する通則のうち、通則1、2(a)、及び2(b)をご紹介いたします。
関税率表の解釈に関する通則とは、関税率表の適用について統一的な運用を確保するための分類解釈の原則を示したものとなります。
貨物の輸入をビジネスとしていらっしゃる方には是非ともご理解いただきたい内容となりますので、ご参照いただけますと幸いです。
1 通則1について
通則1は、部、類、節の表題は、単に参照上の便宜のために設けたものです。
この表の適用に当たっては、物品の所属は、項の規定及びこれに関係する部又は類の注の規定に従い、かつ、これらの項又は注に別段の規定がある場合を除くほか、通則2以下の原則に従って決定されることになります。
2 通則2(a)について
通則2(a)は、各項に記載するいずれかの物品には、未完成品の物品で、完成した物品としての重要な特性を提示の際に有する者を含むものとし、また、完成した物品(この2の原則により完成したものとみなす未完成品の物品を含む。)で、提示の際に組み立ててないもの及び分解しているものを含みます。
3 通則2(b)について
通則2(b)は、各項に記載するいずれかの材料又は物質には、当該材料又は物質に他の材料又は物質を混合し又は結合した物品を含むものとし、また、特定の材料又は物質から成る物品に葉、一部が当該材料又は物質から成る物品を含みます。
4 弁護士へのご相談をご希望の方へ
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通告処分について
先日のコラムにおいて、通告処分の概要をご紹介いたしました。
本日は、犯則事件の際に、検察官に告発される場合についてご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。
通告処分は行政処分ですが、検察官に告発された場合には刑事事件となりますので、対応には十分注意する必要があります。
1 検察官への告発について
以下の犯則事件については、通告処分をすることなく、検察官にその処分を委ねることが適当であるため、直ちに告発するものとされています。
①申告納税方式が適用される貨物に係る関税に関する犯則事件(関税法144条)
税関職員は、関税法110条1項1号(関税を免れる等の罪)又は111条1項2号(許可を受けないで輸出入する等の罪)の罪にかかる犯則事件の調査により犯則があると思料するときは、直ちに検察官に告発しなければなりません(関税法144条)。
②販促嫌疑者の居所が明らかでないとき、上場が懲役の刑に処すべきものであるとき等(関税法145条、146条2項)。
③犯則者の居所が明らかでない等のため、通告することができないとき(関税法147条2項)
また、犯則者が通告処分を受けた場合に葉、20日以内に通告の旨を履行しないときは、税関長は、検察官に告発しなければなりません(関税法147条1項)。
ただし、上記の20日を経過したとしても、犯則者が、告発前に履行した場合には、告発は行われません。
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関税の納期限の延長について
本日は、申告納税方式により輸入する貨物の関税の納期限の延長について、ご紹介いたします。
1 関税の納期限の延長について
申告納税方式が適用される貨物(ただし、特例申告貨物を除きます。以下同様です。)を輸入する者は、当該納税申告をした貨物の関税の納期限について延長を受けたい旨を税関長に申請し、かつ、その関税額に相当する担保を税関長に提供した場合には、3月以内に限り納期限の延長を受けることができます(関税法9条の2第1項、第2項)。
2 個別延長について
申告納税方式が適用される貨物の輸入者が、個々の輸入申告ごとに、納税申告をした関税の納期限について、税関長に対してその延長を受けたい旨の申請書を提出し、かつ、当該輸入申告書に記載した関税額の全部または一部に相当する担保を税関長に提供して延長が認められた場合には、当該提供した担保の額を超えない範囲内で、輸入の許可の日の翌日から3日以内に限り納期限が延長されます(関税法9条の2第1項)。
3 包括延長について
申告納税方式が適用される貨物の輸入者が、特定月の前月末日までに、当該特定月中に輸入しようとする貨物に課されるべき関税の納期限について、その延長を受けたい旨の申請書を輸入の予定地を所轄する税関長に提出し、かつ、特定月において輸入しようとする貨物に係る関税額の合計額に相当する額の担保を税関長に提供して延長が認められた場合には、特定月における関税額の類型学が当該提供した担保の額を超えない範囲内で、特定月の末日の翌日から3月以内に限り納期限が延長されます(関税法9条の2第2項)。
4 弁護士へのご相談をご希望の方へ
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納税義務者が自ら関税額を訂正する方法について
貨物の輸入をビジネスとして行っている方の中には、貨物の輸入後に輸入申告価格が間違っていたことが判明したため、輸入申告価格を訂正し、納税した関税額を訂正したいと考えたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本日は、輸入申告価格に誤りがあった場合に、納税義務者が自ら関税額を訂正する方法についてご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。
1 納税義務者が自ら関税額を訂正する方法
(1)修正申告について
納税申告をした者又は納税申告を必要とする貨物についてその輸入の時までに納税申告がないことにより税関長から決定を受けた者は、納税申告、税関長が行った構成又は決定に係る課税標準又は納付すべき関税額が、その本来納付すべき関税額よりも過少であった場合には、自発的にその関税額を増額変更する申告をすることができます(関税法7条の14)。
このような増額変更のための申告を修正申告といいます。
(2)更正の請求について
また、納税申告をした者は、納税申告をした関税額又はこれについて税関長が行った更正にかかる関税額が本来納付すべき関税額よりも過大であった場合には、その過大な税額について、税関長に対して減額すべきことを請求することができます(関税法7条の15第1項)。
この税関長に対して税額の減額を請求することを更正の請求といいます。
更正の請求は、修正申告とは異なり、あくまでも税額の減額を税関長に対して請求するという形式となっている点には注意が必要です。
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
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通関業者の補完的納税義務について
原則的な関税の納税義務者が輸入者である点については、先日のコラムでご紹介いたしました。
もっとも、例外的に通関業者が納税義務者となる場合もあります。
そこで、本日は、通関業者が納税義務を負う場合についてご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。
1 通関業者の補完的納税義務について
貨物を輸入した場合、関税の原則的な納税義務者は、貨物の輸入者となります。
通関業者は、輸入者から委任を受けて、輸入者を代理して輸入貨物の通関業を行っているに過ぎませんので、通関業者が納税義務者になることは通常はありません。
しかしながら、通関業者は、通関業務に当たっては輸入者から通関に関する権限を委任されて税関に対する手続きを行うので、通関業者が委任された代理権限を越えて無権代理に類似するような行為をした場合には、例外的に、輸入者と連帯して補完的納税義務を負います(関税法13条の3)。
なお、通関業者が例外的に、輸入者と連帯して補完的納税義務を負うこととされているのは、「輸入の許可又は輸入の許可前引取りの承認を受けて引き取られた貨物について、納付された関税額に不足がある場合」において、以下の2つの要件を充足した場合に限られます。
①その輸入の許可又は輸入の許可前引取りの承認の際に当該貨物の輸入者とされたものの住所又は居所が明らかではなく、又はその者が輸入者でないと申立て、
②かつ、当該貨物の輸入に際してその通関業務を取り扱った通関業者が、その通関業務の委託をした者を明らかにすることができなかったとき
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
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税関職員の調査権限の概要について
本日は、税関職員の調査権限の概要をご紹介いたします。
まず、関税等に関する法律の規定による職務の執行を円滑にし、これらの法律の実施の確保に支障がないようにする目的から、税関職員には、輸出入貨物について、輸出入者等に対して質問し、当該貨物についての帳簿書類を検査する権限が与えられております(関税法105条1項4号の2、6号)。
なお、この質問又は検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならないものとされております(関税法105条4項)。
1 輸出された貨物に係る調査
税関においては、輸出された貨物について、その輸出手続きなどに疑義が生じたような場合にその輸出手続等について再調査する必要があります。
このようなことから、税関職員は、輸出者、その輸出に係る通関業務を行った通関業者、当該輸出の委託者その他の関係者に質問し、又は当該貨物についての帳簿書類を検査することができることとされております(関税法105条1項4号の2)。
2 輸入された貨物に係る調査
貨物の輸入については、申告納税方式が前提とされているので、必ずしも、法令の規定に従った正しい申告が行われているとは限りません。
そのため、適正かつ公平な課税を実現するために、輸入貨物の通関後に納税申告が関税法等の規定意従って正しく行われているか否かを確認し、不適正な申告がある場合には、これを是正するとともに、併せて輸入者に対して適正な申告を行うよう指導する仕組みとして、輸入事後調査制度が導入されています。
輸入事後調査は、関税法105条1項6号の規定に基づいて実施されており、同号においては、税関職員の権限として、「輸入された貨物に付いて、その輸入者、その輸入に係る通関業務を取り扱った通関業者、当該輸入の委託者」、「その他の関係者に質問し、又は当該貨物を検査すること」ができることとされています。
3 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
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郵便物の検査について
郵便物の輸出入通関手続は、通常の貨物の輸出入とは異なる特別な手続が取られておりますが、検査に関しても通常の貨物の場合とは異なる手続が想定されております。
そこで、本日は、郵便物を輸出入する際の税関における郵便物の検査について、ご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。
1 郵便物の検査について
そもそも、郵便物に関してですが、日本郵便株式会社は、郵便物(信書のみを内容とするものを除きます。)を受け取ったときは、当該郵便物を輸出入しようとする者から、当該郵便物について関税法67条の輸出入申告を行う旨の申出があった場合を除き、当該郵便物を税関長に提示する必要があります(関税法76条3項)。
税関長は、日本郵便株式会社から提示された郵便物の提示を受けたときは、国際郵便を利用して不正な郵便物が輸出入されることを防止するため、当該郵便物について税関職員に必要な検査をさせます(関税法76条1項ただし書)。
税関職員は、郵便物の検査をする場合には、日本郵便株式会社の職員の立会いを受けることが必要です(関税法施行令66条の2第1項)。
以上の規定は、輸出入申告を要する20万円を超える輸出入郵便物に係る検査についても準用されます。
なお、税関職員は、検査をすべき郵便物の中に親書があると認められる場合には、郵便物の発送人又は名宛人に当該検査を受けるべき郵便物を開示させ、又はその承諾を得た上で、当該検査をする必要があります(関税法施行令66条の2第2項)。
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
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輸入者の製造物責任に関する裁判例
本日は、輸入者の製造物責任に関連して、珍しい裁判例をご紹介いたします。
事案としては珍しいものですが、考え方は貨物の輸入をビジネスとして行っている方にとっては非常に参考になるものだと思いますので、是非ご参照いただけますと幸いです。
1 東京地判平成17年3月24日(判例時報1921・96)
本件は、形式的な輸入者が実質的には輸入を取り次いだにすぎず本邦の責任主体となるかが争われたもので、具体的な事案としては、ストーブを台湾の製造者の日本法人から購入して国内で販売するスーパーマーケットが本邦にいう製造業者に該当するかが問題となりました。
裁判では、販売者であるスーパーマーケットが海外製造元から直接輸入していると見るべき事情があると原告から主張され、形式的な輸入者である日本法人は単なる出先機関にすぎないかが検討されました。
結論として、判旨では、スーパーマーケットが日本法人から仕入れている事情を考慮し、日本法人が実質においても輸入者であると判断しました。
2 大阪地判平成22年7月7日判例時報2100・97
本件は、冷凍とんかつの輸入に関する事案ですが、形式的な輸入者から製造物を購入し、他に販売する事業者が、実質的に輸入者に該当するかが問題となりました。
裁判所は、販売事業者が形式的輸入者から購入している事情を考慮し、形式的輸入者が国内における流通の開始者として実質的にも輸入者であるとの判断をしました。
3 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
弁護士に相談をした方がよいかお悩みの方もいらっしゃるものと思いますが、お悩みをご相談いただくことで、お悩み解消の一助となることもできます。
輸出・輸入や通関に関するトラブル、税関事後調査を含む税関対応等でお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。
輸入品の製造物責任の概要について
本日は、輸入品の製造物責任について、ご紹介いたします。
貨物の輸入をビジネスとして行っている方にとっては、非常に重要な問題ですので、是非ご参照いただけますと幸いです。
1 輸入品の製造物責任の概要について
貨物を輸入し、当該貨物に何らかの問題がある場合、一般的に、輸入者は製造物責任を負う可能性があります(製造物責任法3条、2条3項3号)。
輸入者の製造物責任を考える場合、輸入品については、汚染時期が輸入の前後であるかが特に重要な点となります。
例えば、食品を輸入し、細菌性食中毒が発生した場合には、最近が輸入の前に食品に混入したのか、それとも輸入の後に食品に混入したのかが問題となります。
仮に、輸入の前に食品に細菌が混入している場合には、輸入者の製造物責任は肯定されます。他方で、輸入後、輸入者が業者に販売した後に細菌が混入したのであれば、輸入者の製造物責任は否定されます。
以上の参考になる裁判例としては、①カナダ産馬刺がO157に感染した事故に関する裁判例(東京地判平成16年8月31日判時1891・96)、及び②輸入瓶詰オリーブによる食中毒事故に関する裁判例(東京地判平成13年2月28日判タ1068・181)があります。
①では、細菌による汚染経路が不明であるとして輸入者の製造物責任が否定されました。
他方で、②においては、検出された細菌が国内ではほとんど検出されない細菌であるといった特徴等を踏まえて、商品の開封前に細菌が感染したと推定し、輸入者の製造物責任を肯定しました。
また、食品以外でも、輸入クロスバイク自転車で転倒事故が発生した場合に関する裁判例(東京地判平成25年3月25日判時2197・56)があり、個々では、輸入者の製造物責任が肯定されました。
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