Archive for the ‘コラム~通関手続、輸出入トラブル~’ Category

意匠権侵害貨物の輸入

2025-01-31

輸入ビジネスを営む際、意匠権侵害のリスクは避けて通れない問題です。意

匠権は商品のデザインに関する独占的権利を保護するものであり、これを侵害する貨物を輸入してしまうと、差止請求や損害賠償請求といった法的トラブルに発展する可能性があります。

そこで、本日は、具体例を交えつつ、意匠権侵害のリスクをご説明いたします。

 

1 そもそも意匠権侵害とは?

日本の意匠法は、意匠(デザイン)を独占的に使用する権利を保護するための法律です。

意匠法第2条では「意匠」を「物品の形状、模様または色彩若しくはこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの」と定義しています。

さらに、意匠法第23条では、意匠権者が登録意匠を独占的に実施できる権利を有し、第37条には意匠権侵害に関する具体的な行為が規定されています。特に重要なポイントとして、「登録意匠と同一または類似の意匠を無断で使用する行為」が意匠権侵害に該当します。

 

2 具体例『海外製品の輸入と意匠権の問題』

例えば、ある輸入業者が海外の市場で人気のある家電製品を大量に仕入れ、日本で販売しようとしました。その家電製品は海外メーカーが独自にデザインしたものですが、日本では別の企業が同様のデザインを登録意匠として意匠権を取得していました。

この場合、輸入業者が販売を目的として商品を輸入した行為が、意匠法第37条に基づく「登録意匠と同一または類似の意匠を実施する行為」に該当し、次のような法的トラブルが生じる可能性があります:

①差止請求
意匠権者が輸入品の販売差止めを請求し、在庫が販売できなくなる恐れがあります。

②損害賠償請求
輸入品の販売により意匠権者に損害が生じた場合、その損害を賠償する責任を負う可能性があります。

③税関での差止め
税関での意匠権侵害申告により、輸入時点で商品が差し止められる場合もあります。

 

3 意匠権侵害を防ぐための対応策

輸入業者として意匠権侵害リスクを回避するためには、以下のポイントを押さえることが重要です:

①慎重な事前調査の実施
輸入予定の商品が日本国内で意匠権を侵害しないかどうか、特許庁の「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」を活用して事前に確認しましょう。

②デザインのライセンス確認
海外メーカーや仕入先に対し、輸入予定の商品のデザインが合法的に使用されているか確認し、必要であればライセンス契約書を入手することが必要です。

③税関への事前確認
輸入品が意匠権を侵害していないか税関に相談することで、輸入時点での差止めリスクを軽減できます。

④弁護士への相談
意匠権侵害は専門的な知識が求められるため、疑わしい場合は意匠法に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。

⑤契約の整備
輸入元との契約書に、意匠権侵害が発覚した場合の責任分担や返品対応について明確に記載しておくことで、リスクを軽減できます。

 

4 意匠権侵害貨物にはご注意ください

意匠権侵害は、輸入ビジネスにおける深刻なリスクです。たとえ海外で合法的に購入した商品であっても、日本国内で意匠権を侵害する場合、輸入業者が法的責任を問われる可能性があります。

輸入業者は、事前調査と適切な契約管理を徹底し、必要に応じて専門家のサポートを受けることで、このリスクを効果的に回避できます。法律を遵守し、安全なビジネス運営を実現しましょう。

著作権侵害貨物の輸入

2025-01-26

輸入ビジネスを行う際、著作権法侵害のリスクを軽視することはできません。

輸入する商品が知らないうちに著作権を侵害している場合、輸入した事業者が法的責任を問われることになります。

本日は、具体例を交えつつ、著作権侵害のリスクをご説明致します。

 

1 そもそも著作権侵害とは

日本の著作権法は、著作者の権利を保護するため、著作物の無断使用を禁止しています。

具体的には、著作権法第2条では「著作物」を、「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの」と定義しています。

さらに、著作権法第113条第1項は、次のような場合に著作権侵害とみなすと規定しています。

①著作物を日本国内に無断で頒布する目的で輸入する行為

②著作物を著作権者の許諾なく公衆に提供する行為

これに基づき、輸入業者が販売や配布を目的として著作権を侵害する商品を輸入した場合、著作権法違反とされる可能性があります。

 

2 具体例『海外製品の輸入と著作権の問題』

例えば、ある事業者が海外の市場で、アニメのキャラクターがプリントされたTシャツを仕入れ、日本国内で販売することを計画しました。

この業者は、現地では広く流通しているため問題ないと考えていました。しかし、日本国内では、そのキャラクターの著作権が特定の企業に帰属しており、許可なくそのデザインを使用することが著作権侵害に該当しました。

このような場合、以下のような法的リスクが発生いたします。

①著作権者からの警告および差止請求
販売前であっても、著作権者から商品の輸入および販売の差止めを求められるケースがあります。

②損害賠償請求
著作権者が損害賠償を請求し、輸入業者が損害を賠償する義務を負う可能性があります。

③刑事罰
悪質な場合には、著作権法第119条に基づき、刑事罰(懲役や罰金)が科されることもあります。

 

3 リスク回避のためのポイント

著作権侵害リスクを防ぐために、以下の対策を講じることをお勧めします。

①丁寧な事前調査
輸入予定の商品が日本国内で著作権を侵害しないことを確認することが重要です。特にキャラクターやロゴ、イラストが含まれる商品は注意が必要です。

②正規のライセンスの確認
輸入元の業者や製造元が、正規のライセンスを取得しているかどうかを確認しましょう。必要であれば、ライセンス契約書を提示してもらうことを検討してください。

③弁護士への相談
著作権の問題は複雑で専門的です。輸入予定の商品について不安がある場合は、著作権に詳しい弁護士に相談することで、リスクを事前に評価できます。

④契約書の見直し
輸入業者として、取引先との契約書に「著作権侵害が判明した場合の責任分担」について明記しておくことも有効です。

 

4 著作権侵害貨物の輸入にはご注意ください

著作権侵害は、輸入ビジネスにおける重大なリスクです。

海外で合法的に取引された商品であっても、日本国内では著作権を侵害する場合があるため、慎重な対応が求められます。

輸入業者は、事前調査を徹底するとともに、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることで、トラブルを未然に防ぐことが可能です。法令を遵守し、安全なビジネス運営を目指しましょう。

商標権侵害貨物の輸入にはご注意ください

2025-01-21

輸入ビジネスを営む事業者は、商標権侵害のリスクに十分注意する必要があります。

実際、輸入された商品が知らず知らずのうちに日本国内の商標権を侵害しているケースが多々あります。

そこで本日は、具体例を交えつつ、輸入貨物の商標権侵害に関してご説明いたします。

 

1 商標権侵害とは

日本の商標法では、登録商標が他人の許諾なく使用されることを防ぐため、商標権が保護されています。

例えば、商標法第25条には、商標権者は指定商品または指定役務に関して登録商標を独占的に使用できる旨が規定されています。

また、商標法第37条では、商標権侵害行為の具体例が挙げられており、次のような行為が侵害に該当するとされています:

①登録商標と同一または類似の商標を、指定商品や指定役務に使用すること

②指定商品と類似の商品に登録商標を使用すること

事業者が意図せずに商標権を侵害するケースでは、これらの規定が問題となることが多いです。

 

2 具体例『海外製品の輸入と商標権の問題』

例えば、ある事業者が海外の有名ブランドの衣料品を海外の市場で購入し、日本に輸入したケースを考えます。

この業者は「現地で合法的に購入した商品だから問題ない」と考えていました。しかし、日本国内では、そのブランドの商標が別の日本企業によって登録されていました。

この場合、業者が輸入した商品が商標法第2条に基づく「商標の使用」に該当し、日本側の商標権を侵害する可能性があります。

結果として、以下のようなトラブルが生じるリスクがあります:

①商標権者からの差止請求
輸入品の販売や流通が差し止められ、業務に大きな支障が生じる可能性があります。

②損害賠償請求
商標権者が損害賠償を請求することも可能であり、高額な賠償金が発生するケースもあります。

③刑事罰
悪質な場合には、商標法第78条に基づき、刑事罰が科されることもあります。

 

3 リスク回避のためのポイント

輸入業者として商標権侵害を防ぐためには、次の対応策が有効です:

①丁寧な事前調査の実施
輸入予定の商品について、国内の商標権登録状況を調査しましょう。特許庁の「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」を活用することで、商標の登録状況を確認することができます。

②契約内容の確認
海外のサプライヤーから購入する際、当該商品が輸入先国で商標権侵害のリスクがないことを明確にする条項を契約に盛り込むことが重要です。

③弁護士等の専門家への相談
商標権の問題は専門的で複雑です。輸入を検討している商品がある場合は、事前に弁護士等の専門家にご相談いただき、リスク評価を行いましょう。

 

4 商標権侵害貨物の輸入にはご注意ください

商標権侵害は、輸入業者にとって見過ごせないリスクです。

合法的に購入した商品であっても、日本国内では商標権侵害に該当するケースがあります。事前の調査と適切な対応を通じて、トラブルを未然に防ぐことができます。

輸入ビジネスを行う上では、法律の専門家と連携しながら慎重に対応することを強くお勧めします。商標権を侵害することなく、円滑で安全なビジネス運営を目指しましょう。

若者が巻き込まれる密輸の現状

2024-12-27

近年、大学生などの若者が『簡単に稼げる副業』として禁制品や金地金の密輸入に関わるケースが増加しています。

特にSNSやインターネットを通じて、「海外旅行のついでに荷物を運ぶだけ」、「観光の帰りに簡単な副業」、「実質無料で観光に行こう」等の甘い言葉で勧誘されることが多いようです。しかしながら、このような行動がもたらすリスクは非常に深刻であり、一度関与すると人生を大きく狂わせる可能性があります。

本日は、その危険性について説明します。

 

1 若者が巻き込まれる現状

警察庁の2022年の統計情報によると、日本における薬物密輸関連の検挙者数は前年より約15%増加しており、そのうち20代以下の若者が占める割合は約30%と報告されています。こうした背景には、SNSや求人アプリを通じて「割の良いバイト」として勧誘されることが挙げられます。

この傾向は2024年の現在でも同様であり、犯罪組織にとっては、社会経験の浅い若者は「リスクを理解していない」、「違法性に鈍感」等と見られるため、非常に利用しやすく、問題が発覚した場合には簡単に見捨てることができる使い勝手のよい存在です。

 

2 密輸は人生を狂わせるので、絶対に行ってはいけません

日本の法律では、禁制品の密輸は極めて重い罪です。

たとえば、麻薬取締法や関税法に基づく罰則では、以下のような処罰が規定されています。

①麻薬取締法違反:最高で無期懲役、または10年以上の懲役に加え、数千万円規模の罰金が科されることがあります。

②関税法違反:密輸入を目的とした行為は、5年以上の懲役または罰金が科されます。

 

最終的な処罰の前には逮捕、勾留、刑事裁判と続き、経済的負担や社会的信用の喪失を招きます。

 

3 実際に起こりうるリスク

(1) 刑罰とその影響

先述の通り、禁制品や金地金の密輸に関与した場合、極めて厳しい刑罰が科されます。

一度有罪判決を受けると前科がつき、就職や進学といったその後の人生にも大きな悪影響を及ぼします。

(2) 知らずに「運び屋」にされる可能性

「ただ荷物を預かっただけ」といった場合でも、禁制品や金地金が入っていれば違法行為とみなされます。

「知らなかった」という弁解は通用しないことがほとんどであるとお考えください。

 

4 誘惑に負けないために

若者が犯罪に巻き込まれないためには、以下のポイントに注意することが重要です。

①安易な勧誘に乗らない:特に「高額報酬」「簡単」といった文言には注意を払いましょう。

②荷物を預かる際のリスクを認識する:他人の荷物を運ぶ場合、その内容物に責任が伴うことを自覚しましょう。

③法律知識を身につける:日本の厳しい法律について正確に理解しておくことで、違法行為を未然に防ぐことができます。

 

5 専門家に相談することもご検討ください

禁制品の密輸は決して「簡単な副業」ではなく、人生を台無しにするほどのリスクを伴う犯罪です。

もしも自分自身やご家族が誘いを受けたり、不安に思うことがあれば、弁護士や警察に相談してください。自分自身を守るためにも、軽率な行動を避け、慎重な判断を心がけましょう。

禁制品や金地金の密輸

2024-12-22

禁制品の輸入や金地金の密輸は、いわゆる関税法違反事件となり、刑事告発された場合には、懲役刑等の厳罰に処せられる可能性もあります。

禁制品の輸入を軽い気持ちで行うことはあまりないと思いますが、他方で金地金に関しては、簡単な運び屋の気分で安易に行われてしまうケースが散見されます。

本日は、令和6年上半期(令和6年1月から6月まで)において、関税法違反事件として取り締まりが実行された案件をご紹介いたします。

 

1 不正薬物関連

まず、不正薬物の内訳としては、覚醒剤、大麻、あへん、麻薬(ヘロイン、コカイン、MDMA等)、向精神薬及び指定薬物を指すものとします。

不正薬物全体の摘発件数は500件、押収量は約1301kgであり、摘発件数は増加し、押収量は減少した模様です。

具体的な内訳をみると、

①覚醒剤

摘発件数は85件、押収量は約814kgと、共に減少した。

押収した覚醒剤は、薬物乱用者の通常使用量で約2715万回分、末端価格にして約538億円に相当するとのことです。

 

②大麻

大麻草の摘発件数は96件、押収量は約103kgであり、前年比で大幅に増加したようです。

また、大麻樹脂等(大麻リキッド等の大麻製品を含む。)の摘発件数は61件、押収量は約46kgとなり、前年比で共に大幅に増加したようです。

 

③麻薬

コカインの摘発件数は30件、押収量は約235kgでした。

また、MDMA等の摘発件数は49件、押収量は約79kgでした。

 

④指定薬物

指定薬物の摘発件数は76件、押収量は約7kgでした。

 

2 金地金

金地金の摘発件数は228件、押収量は約937kgでした。

 

3 安易に貨物を日本に持ち込む行為にはご注意ください

上記のとおり、不正薬物関連や金地金等の密輸は非常に多く行われておりますが、特段罪の意識がない若者等が運び屋として利用されてしまうケースも多くあります。

自分では大したことがなく、単に土産物のようなものを運んで日本に持って帰ってくるだけで相当程度の報酬がもらえる、と思い安易な気持ちで関与してしまう方もおりますが、自分の一生を棒に振ってしまいかねない行為ですので絶対に関わってはいけません。

あくまでも関与しないことが一番ではありますが、万一関りを持ってしまった場合には、速やかに専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

輸入事後調査の現況

2024-12-17

輸入を事業として行っている事業者にとって、『輸入事後調査』という言葉はどこかで聞いたことがあるものかと思います。

日本の輸入通関においては、申告納税方式がとられておりますので、事後的に各輸入申告が適正なものであったかどうかを税関が判断することになります。

そこで、本日は税関が公表した資料を踏まえて、輸入事後調査の現況についてご紹介いたします。

 

1 輸入事後調査の現況

令和5事務年度(令和5年7月から令和6年6月)において、輸入事後調査の調査対象となった輸入者は3576者(前事務年度比108%)、その内申告漏れ等のあった輸入者は2678者であり、調査対象者全体の74.9%に上りました。

 

また、納付不足税額は128億2932万円(前事務年度比137.3%)であり、内関税額は8億5888万円、内国消費税額は119億7043万円でした。

加算税は総額6億2238万円、内重加算税は、4336万円でした。

 

いずれの統計情報でも、不足額は増加傾向にあります。

 

納付不足税額が多い上位5品目ですが。

①光学機器等(90類)で納付不足税額は26億4237万円、

②電気機器(85類)で納付不足税額は17億601万円、

③機械類(84類)で納付不足税額は14億8761万円

④医療品(30類)で納付不足税額は14億7569万円、

⑤自動車等(87類)で納付不足税額は12億6813万円

 

2 輸入事後調査に備えましょう

輸入事後調査は、貨物の輸入を事業として行っている場合にはいつ行われてもおかしくありませんので、日常的に輸入事後調査に備えておくことが重要です。

特別なことをする必要はなく、輸入を事業として行っている事業者であれば当然に実施していなければならない資料の整理等を日常的に行うことが重要です。

輸入事後調査を過度に恐れる必要はなく、日常的に行うべきことを適切に行っていただければ特段問題はないですが、なかなか後回しになり取り掛かることができないケースも多いでしょう。

既に輸入事後調査の実施が決まった、という事業者の方、将来的に事後調査が入っても問題ないように今から準備をしておきたい事業者の方、会社として準備は行っているけれどその準備が適切かどうかわからないので第三者の観点でチェックして欲しいとお考えの事業者の方等、輸入事後調査に関してご不安な点がある場合には、専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

弊事務所では、輸入事後調査に幅広く対応しておりますので、お気軽にご連絡いただけますと幸いです。

関税等脱税事件に係る品目別の処分の実績

2024-12-12

日本に貨物を輸入(ハンドキャリーを含む)する場合には、様々な法規制が存在します。

自分としては悪いことをしている認識がなかったとしても、法規制に違反してしまうとペナルティが発生することもありますので、十分注意する必要があり、軽い気持ちで行ったことが思わぬ重大な犯罪につながることもあります。

本日は、令和5事務年度(令和5年7月から令和6年6月)における関税等脱税事件に係る品目別の処分の実績に関する統計情報(税関公表)をご説明いたします。

 

1 品目別の処分の現状

①金地金は102件、脱税額は3億5550万円、

②たばこは25件で、脱税額は933万円、

③腕時計は19件で、脱税額は2498万円、                                              

④バッグ類は7件で、脱税額は412万円、

⑤アクセサリー類は2件で、脱税額は2万円、                                                                                                                                       

⑥化粧品類は1件で、脱税額は21万円、

⑦食品・酒類は2件で、脱税額は3万円、

 

2 品目別の処分を踏まえた現在の状況

品目別の処分を踏まえた現在の状況を考えると、やはり件数、脱税額のいずれに関しても金地金の密輸が圧倒的なウェイトを占めるということが分かります。

いわゆるコロナの流行期間においては海外との往来が行われておりませんでしたが、それ以前の期間から金地金の密輸は大問題として存在しておりました。

要するに、海外で金を購入し、日本に密輸して日本で販売すれば消費税分を丸々利益にすることができるということで、若い学生などを運び屋にして金地金の密輸をすることが多かったわけですが、現状でも金地金の密輸が非常に多く行われていることが分かります。

金地金の密輸によって得られる利益は、いわゆる反社会的勢力の資金源になることも多く、今後金地金の密輸は徹底的に撲滅していくことが必要です。

海外と往来する場合に、安易な気持ちで運び屋のようなことは引き受けないということは改めて強く認識していただく必要があります。

 

3 貨物の輸入、持ち込みに伴うトラブルにはご注意ください

貨物の輸入、持ち込みに伴うトラブルには様々な種類がありますが、要するに、持ち込みが禁止されているもの(いわゆる禁制品)の持ち込みを試みるケースと、脱税目的で密輸するケースが大半です。金地金の密輸は後者です。

これらはいずれも重大な犯罪ですので、絶対に行ってはいけないことは言うまでもありませんが、軽い気持ち(バイト感覚)で知り合いから頼まれたから等の理由で行ってしまう人も一定程度存在します。

行ってしまったことは取り消せませんので、もしこれらの輸入におけるトラブルに巻き込まれてしまった場合には、速やかに専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

関税等脱税事件に係る脱税額の推移

2024-12-07

日本に貨物を輸入(ハンドキャリーを含む)する場合には、様々な法規制が存在します。

自分としては悪いことをしている認識がなかったとしても、法規制に違反してしまうとペナルティが発生することもありますので、十分注意する必要があり、軽い気持ちで行ったことが思わぬ重大な犯罪につながることもあります。

本日は、令和5事務年度(令和5年7月から令和6年6月)における関税等脱税事件に係る脱税額の推移に関する統計情報(税関公表)をご説明いたします。

 

1 脱税額の現状

告発に進んだケースの関税額は106万円、内国消費税額は2億5079万円(前事務年度比15.2倍)でした。

次に、通告処分で終了したケースの関税額は778万円、内国消費税額は1億3598万円(前事務年度比72%)でした。

 

2 脱税額を踏まえた現在の状況

脱税額を踏まえた現在の状況を考えると、やはり金地金の密輸が圧倒的なウェイトを占めるということが分かります。

いわゆるコロナの流行期間においては海外との往来が行われておりませんでしたが、それ以前の期間から金地金の密輸は大問題として存在しておりました。

要するに、海外で金を購入し、日本に密輸して日本で販売すれば消費税分を丸々利益にすることができるということで、若い学生などを運び屋にして金地金の密輸をすることが多かったわけですが、現状でも金地金の密輸が非常に多く行われていることが分かります。

金地金の密輸は徹底的に防ぐことが必要であることは今更言うまでもありませんが、徹底的に防ぐことが重要であることは改めて強調したいところです。

 

3 貨物の輸入、持ち込みに伴うトラブルにはご注意ください

貨物の輸入、持ち込みに伴うトラブルには様々な種類がありますが、要するに、持ち込みが禁止されているもの(いわゆる禁制品)の持ち込みを試みるケースと、脱税目的で密輸するケースが大半です。金地金の密輸は後者です。

これらはいずれも重大な犯罪ですので、絶対に行ってはいけないことは言うまでもありませんが、軽い気持ち(バイト感覚)で知り合いから頼まれたから等の理由で行ってしまう人も一定程度存在します。

行ってしまったことは取り消せませんので、もしこれらの輸入におけるトラブルに巻き込まれてしまった場合には、速やかに専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

貨物の原産地の表示にはご注意ください

2024-11-27

貨物を輸入する際に、原産地を貨物上に記載、掲載している場合も多いと思います。

原産地表示は、原産地規則に基づいて行う必要があり、また、日本国内で商品を販売する場合も、正確な原産地を記載しないと景品表示法等で問題となるリスクがありますので、正確に記載する必要があります。

貨物の原産地を決定するための基準の概要は、以下の通りですので、ご参考となれば幸いです。

 

1 完全生産品基準

貨物が完全に特定の国で生産された場合、この基準が適用されます。

例えば、農産物や鉱物など、その国で完全に採取・生産されたものが該当します。

 

2 実質的変更基準

 貨物がある国で加工・製造され、その結果、製品の性質や用途が大きく変わった場合に適用されます。この基準には具体的には以下の方法があります。

①HSコード変更基準

貨物の関税分類(HSコード)が製造過程で変更された場合です。

例えば、生地(HSコード:5208)が特定の国で縫製されてシャツ(HSコード:6105)になった場合、加工により商品分類(HSコード)が変わるため、実質的変更が行われたと判断されます。この基準は、単純な梱包や組み立てなどでは適用されず、製品の性質や用途が明確に異なることが求められます。

②付加価値基準

加工後の貨物における特定国での付加価値の割合が一定以上の場合です。

たとえば、自動車部品の輸入材料がある国で組み立てられ、完成車として輸出される場合です。この際、完成品に占める原材料費や輸入部品の割合を差し引いた「現地での加工付加価値」が40%以上であれば、実質的変更と見なされます。

 

③ 製造工程基準

特定の製造工程が行われた場合に適用

例えば、未加工のカカオ豆がある国でローストされ、チョコレートに加工される場合、特定の製造工程(焙煎や成形など)が行われたことにより、商品が別のものとみなされます。

この基準では、工程の重要性や不可逆性が重視されます。

 

3 原産地の表示にはご注意ください

国際貿易において『原産地規則』は非常に重要な役割を果たします。

また、日本国内で商品を販売する場合も、景品表示法等の関係で原産地表示は正確に行う必要があります。

『原産地規則』は、ある製品がどの国で「生産された」とみなされるかを決定する基準を指し、輸入ビジネスを行う上で、このルールを正しく理解することは、関税や通関の手続き、また日本国内での商品の販売のいずれにおいても不可欠です。

少しでも不安な点がある場合には、まずは専門家にお問合せいただくことをお勧めいたします。

該非判定の基本的な流れに改めてご注意ください

2024-05-22

外為法上、貨物を輸出する場合には、リスト規制、キャッチオール規制といった規制の該当性を判断しなければならないことは、貨物の輸出を業として行っている法人や個人事業主の方に広く知られていることと思います。

また、大学や各種研究機関においては、共同研究や留学生の受け入れ等、外為法の規制該当性に関して非常に微妙な判断をする必要がある場面も多くあります。

 

1 貨物の該非判定の基本的な流れ

貨物を輸出する場合には、外為法上の規制該当性を判断するための該非判定を行う必要があります。

ここでは、形式的に貨物の表面上の内容を検討するだけでは不十分であり、例えば機械の場合には、装置内部に弁やポンプ、制御装置などがある場合にはそれぞれを個別に検討する必要が生じる場合もありますし、機械に使用されている技術として、内部プログラムやマニュアルなどについて個別に検討する必要が生じる場合もあります。

貨物等省令を前提に、運用通達や役務通達を踏まえて判断していくことになりますが、単に形式的な用語を判断するだけでは不十分であり、実質的な機能などに着目する必要がある点は改めて留意が必要です。

マトリクス表の利用等、該非判定に慣れている方も改めて検討の順序や方法をご確認いただくことをお勧めいたします。

 

2 外為法の規制には十分ご注意ください

貨物を輸出する場合(及び技術を国際間で移転、提供する場合)には、外為法上の厳格な規制が存在します。

日本国内で購入したものであるから、海外に輸出しても問題ないと安易に考えることは非常に危険であり、日本国内で一般に販売されている物品であっても、海外に輸出する際には規制対象となる品目は多数存在します。

日用品として用いる小さな機械製品であっても大量破壊兵器や一般兵器に転用することが可能な場合は多数存在します。

また、外為法上の許可を取得することが煩雑であることから、安易に特例の適用があると判断することは非常にリスクの高い行為であるといわざるを得ません。

知らなかったでは済まされず、重大な犯罪行為(ひいては国際的な平和を損なう行為にもなりかねないことはくれぐれも気を付けるべきです。)となってしまい、違反した場合には重い刑事罰等も存在しますので、貨物を輸出する場合(及び技術を国際間で移転、提供する場合)において、外為法の規制内容に少しでも不安がある場合には、事前にご相談いただくことを強くお勧めいたします。

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