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輸入事後調査実施の際の事前通知について
輸出入をビジネスとして行っている方の中には、税関事後調査という仕組を理解している方も多いのではないでしょうか。
税関事後調査とは、簡単に言うと、貨物の輸出入通関の適切さを、輸出入の後に税関が調査する制度のことを指します。
このうち、例えば、輸入事後調査については、申告価格が誤っていた場合には過少申告加算税等が課される可能性がある等注意が必要です。
そこで、本日は、輸入事後調査実施の際の事前通知についてご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。
1 輸入事後調査実施の際の事前通知について
まず、上記のとおり、税関は、輸入貨物の通関後に、輸入者による納税申告の適正さ確認するために、輸入事後調査を実施することができます(関税法105条1項6号)。
この輸入事後調査については、税関職員が、輸入者の事務所等を訪問し、輸入業務や経理事務の担当者等に対して、輸入取引の形態や貨物代金の決済方法等について質問し、関係資料を調査するといった流れで実施されます。
このような輸入事後調査の実施に当たっては、税関長は、事前に、輸入者に対して、調査を実施する旨を通知するとともに、調査を開始する日時等を記載した書面を調査の開始前に交付することとされております。
もっとも、税関長が違法または不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にする恐れその他調査の適正な推敲に支障を及ぼす恐れがあると認める場合には、上記の通知を要しないものとされております。(関税法105条の2、通則法74条の9、74条の10)
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
弁護士に相談をした方がよいかお悩みの方もいらっしゃるものと思いますが、お悩みをご相談いただくことで、お悩み解消の一助となることもできます。
輸出・輸入や通関に関するトラブル、税関事後調査を含む税関対応等でお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。
税関による貨物の検査について
貨物を輸入しようとしたところ税関検査のためなかなか輸入許可が下りず困った、という経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本日は、税関による貨物の検査についてご紹介いたします。
1 輸出入貨物の税関検査
輸入申告のあった貨物について、税関は必要に応じて検査をすることが可能です(関税法67条)。
当該検査は、取引相手との約束や輸入国側の要請に基づき、検査機関に委託して行うものとは異なり、日本の法令の下、税関行政の一環として実施されるものですので、関係者は甘受せざるを得ません。
税関検査は、原則として、税関長の指定する場所で行う必要があり、「指定地検査」と呼ばれております。
ただし、巨大な貨物、危険物等でやむを得ない場合には、あらかじめ税関長の許可を受けることで指定された場所以外の場所で検査を受けることも可能です。このことを「指定地外検査」といいます。
税関検査の検査方法には、①見本検査、②一部指定検査、③全部検査、の3種類があります。検査の目的に応じて、いずれかの方法で実施されることになります。
2 搬入前・事前検査
(1)輸出時の搬入前検査
次の場合には、輸出貨物が保税地域等に搬入される前に税関の検査を受けることが出来ます。
①再包装が困難な貨物等でインボイス等によって貨物の内容が明らかで搬入前検査をすることに支障がない場合
②コンテナー貨物に付いて輸出者から申し出があった場合で、搬入前検査を実施することに支障がなく、インボイスなどにより貨物の内容が明らかで、搬入前検査終了後速やかに保税地域などに搬入されることが確実である場合
(2)輸入時の事前検査
一定の場合には、輸入申告の前に検査を行うことができます。
この事前検査の場合、税関は、インボイス等の通関関係書類の提出を求めてきますので、適切に対応することが必要となります。
3 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が、輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出入トラブルや通関トラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出入や通関に関してお悩みの方や、ご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。
輸入事後調査は事前に通知が届くとは限りません!日々の業務を適切に行うことが重要です!
本日は、輸入事後調査の対応の際の注意点の1つをご紹介いたします。
輸入者の中には、「輸入事後調査の存在は知っているが、調査実施前に通知が来るはずなので、その通知が届いてから対応を検討すれば十分だろう」とお考えの方がいらっしゃいます。
しかしながら、このような考えは以下の観点からリスクがあります。
すなわち、一般的には、輸入者が調査の準備を出来るように期間を設ける趣旨から、調査より前に、調査の対象となる輸入者に対して通知が届く運用がなされているようです。
しかしながら、通知を事前に行うことについて法令上の規定があるわけではありませんので、調査実施前に通知が届かない場合や、調査日からあまり期間がないタイミング(例えば前日等)で通知が届く場合もありますので、注意が必要です。
実際に、税関のHP上では、輸入事後調査の事前通知に関して、「法令の規定に従い、申告内容、過去の調査結果、事業内容などから、事前通知をすると、①違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれ、又は、②その他、調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると判断した場合には、事前通知をしないこともあ」る、との説明が掲載されております。
身に覚えがなく、また、実際には問題がない場合であっても、税関が上記①又は②のおそれがあると判断した場合には、輸入事後調査の事前通知がなく、突然輸入事後調査が実施される可能性があります。
以上のとおり、輸入事後調査について、事前通知が届いてから対応を検討すればよいとの考えにはリスクがあります。事前に輸入に関する業務内容を整理し、日々の業務が適正に遂行できるような体制を構築することが重要です。
当事務所では、代表弁護士が通関士資格を有しており、豊富な輸入事後調査の対応経験を有しております。輸入事後調査の対応準備から実際の調査時の立会まで、輸入事後調査に関して幅広くサポートさせていただくことが可能ですので、輸入事後調査に関して少しでも不安な部分がある方は当事務所までお気軽にお問い合わせください。
輸入事後調査対応の注意点
本日は、輸入事後調査の対応の際の注意点の1つをご紹介いたします。
「税関の輸入事後調査は、任意の調査であるから、適当に対応すれば大丈夫」と誤解されている方がたまにいらっしゃいます。
確かに、税関の輸入事後調査が任意の調査であるということはその通りなのですが、例えば、輸入事後調査の調査中に、税関職員から、帳簿書類等の提示・提出の要望があった場合に、正当な理由なく帳簿書類等の提示・提出を拒むことや、虚偽の記載をした帳簿書類等を提示・提出した場合には、罰則(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)が科される場合があります。
このようなルールの存在を知らずに、輸入事後調査に「適当に」対応し、帳簿書類等の提示・提出を拒んだり、自社にとって好ましい内容に「修正」した帳簿書類等を提示・提出する場合、輸入者には罰則が科されるといった不測の事態が発生してしまうリスクがありますので、輸入事後調査の対応には十分注意する必要があります。
また、対象となる帳簿書類等が、調査の対象となる輸入者以外の私物である場合には、税関職員から、帳簿書類等の提示・提出の要望があった場合でも、提示・提出を拒否することが可能であると誤解されている方がたまにいらっしゃいます。
しかしながら、輸入者の事業との関連性が疑われる場合等一定の場合には、調査の対象となる輸入者以外の私物である帳簿書類等についても、法令上提示・提出義務が発生する場合がありますので、注意が必要です。
以上のとおり、輸入事後調査の対応に関しては、少しの誤解が、輸入者にとって想定外のデメリットをもたらすリスクがありますので、慎重な対応が必要です。
当事務所では、代表弁護士が通関士資格を有しており、豊富な輸入事後調査の対応経験を有しております。
輸入事後調査の対応準備から実際の調査時の立会まで、輸入事後調査に関して幅広くサポートさせていただくことが可能ですので、輸入事後調査に関して少しでも不安な部分がある方は当事務所までお気軽にお問い合わせください。