Archive for the ‘コラム~不動産関連~’ Category

家屋の相続について

2021-02-26

「家屋を相続したが、遺産分割協議が難航しており、家屋の所有者が確定していない。もっとも、家屋を遺産分割協議が確定するまで手付かずの状態で放置するわけにもいかず、家屋の管理等をする必要があるが、単独の相続人が家屋の管理等を行って問題ないか。」というご相談をお受けすることがあります。
家屋の所有者が確定する前に行う家屋の管理等に関しては、行う作業によって相続人の同意が必要な範囲が異なりますので、注意が必要です。
以下、概要をご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 家屋の管理等について

まず、遺産分割が未了の場合、家屋は相続人の共有状態といえます。
そして、共有状態においては、各持分権者は、共有物に対して行う作業によっては、他の持分権者の同意が必要となります。
具体的には、以下のとおり、家屋の保存行為、管理行為、処分・変更行為毎に検討する必要があります。

 

(1)家屋の保存行為
相続人の一人が、家屋内の清掃等、民法上の保存行為に該当する作業を行う場合には、他の持分権者である相続人の同意を得る必要はなく、単独で行うことが可能です(民法252ただし書き)。

(2)家屋の管理行為
家屋が賃貸借契約の対象となっている場合における賃貸借契約の解除等、家屋の管理行為に該当する作業を行う場合には、持分権者の過半数の同意を得た上で行うことが必要です(民法252条本文)。

(3)家屋の処分・変更行為
家屋を大規模修繕する、また、家屋を解体するといった作業は、家屋の処分・変更行為に該当しますので、持分権者である相続人全員の同意が必要です。

 

なお、家屋の固定資産税は、相続人が連帯して納付する義務があります(地方税法10条の2第1項)。
そのため、法定相続分に応じて自己の分だけを納税し、納税義務から解放されるといったことはできませんので、注意が必要です。

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、不動産に関するご相談を幅広くお受けしております。
不動産に関して、ご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

建物賃貸借契約の更新拒絶に必要な正当事由とは

2021-02-18

建物賃貸業を営む方から、「建物賃貸借契約の期間満了に伴い更新をせずに、立退きを求めたいのですが、更新拒絶を借主側に通知しただけで認められるわけではなく、正当事由が必要である、という話を聞きました。正当事由の有無はどのように考えればいいでしょうか。」、というようなご相談をお受けすることがあります。
そこで、本日は、賃貸人側が期間の定めのある建物賃貸借契約の更新を拒絶する場合の正当事由の概要をご紹介いたします。

 

1 正当事由の考え方

上記のとおり、賃貸人側が、期間の定めのある建物賃貸借契約の更新を拒絶する場合には、正当事由が必要とされています(借地借家法28条、26条1項等)。
そして、この正当事由は、概ね以下の①から⑤の各要素を総合考慮することになります。

①建物の使用を必要とする事情
正当事由の判断においては、これが中心的な要素となります。
賃貸人側と借家人側の当事者双方の建物の使用の必要性を比較衡量し、賃貸人側の必要性の方が大きいという判断とならなければ、②以下の判断結果に関わらず、正当事由は認められないと考えられます。なお、建物の転借人がいる場合には、転借人の建物の使用の必要性も借家人側の建物使用の必要性の事情として考慮されます。

②建物の賃貸借に関する従前の経過
建物の賃貸借契約締結の経緯や事情、また、賃貸借期間中の借家人の契約上の債務の履行状況(例えば、賃料は毎回期日通りに支払っているか、迷惑行為等は行っていないか等です。)のことを指します。

③建物の利用の状況
例えば、建物の種類、用途に則った利用がなされているか、また、建物の用法違反となるような使用はなされていないか等を指します。

④建物の現況
例えば、建物の経過年数及び残存耐用年数、建物の腐朽損傷の程度、大修繕の必要性、修繕費用、当該地域における土地の標準的使用に適った建物であるか等を指します。

⑤財産上の給付
例えば、賃貸人から借家人に対する立退料の提供を指します。

 

2 弁護士にご相談を希望の方へ

建物からの立退きに関して、お困りの方も多くいらっしゃるものと思われます。
当事務所は、建物からの立退きを含む賃貸借におけるトラブルへの対応に関するご相談もお受けしておりますので、お気軽にご相談ください。

不動産に関してこんなお悩みありませんか?

2021-01-30

不動産は、通常高い価値を有しておりますので、不動産に関連するトラブルが発生した場合に、そのトラブル解決のための処理を間違えてしまうと、大きな損失が発生してしまうリスクがあります。
不動産に関連する代表的なトラブルとしては、例えば、①借地借家をめぐるトラブル、②不動産の売買をめぐるトラブル、③不動産の共有を解消する際のトラブル、④相隣関係のトラブル等、様々なものがありますので、以下では、各トラブルにおける具体的な相談内容をもう少し細かくご紹介いたします。

1 ①借地借家をめぐるトラブル

不動産からの立退に関するご相談、賃料の値上げ対応に関するご相談、更新料に関するご相談等が代表的なご相談内容といえます。

2 ②不動産の売買をめぐるトラブル

不動産の売買契約書の作成・レビューに関するご相談、不動産の欠陥に関するご相談等が代表的なご相談といえます。

3 ③不動産の共有を解消する際のトラブル

共有不動産の分割に関するご相談、共有持分の贈与や譲渡に関するご相談、共有持分の交換に関するご相談等が代表的なご相談といえます。

4 ④相隣関係のトラブル

境界(筆界)をめぐるトラブルに関するご相談、袋地通行権(囲繞地通行権)に関するご相談、日照権・騒音等に関するご相談等が代表的なご相談といえます。

 

繰り返しとなりますが、不動産に関連するトラブルが発生した場合に、そのトラブル解決のための処理を間違えてしまうと、大きな損失が発生してしまうリスクがありますので、慎重に対応する必要があります。
そして、不動産をめぐる法令は多岐に及びますので、トラブルを適切に解決するためには、それら法令の正確な理解と経験を有する専門家にご相談いただくことが重要といえ、安易に独力での解決を図ることは非常に危険であると言わざるを得ません。
当事務所のコラムでは、今後不動産に関連するトラブルについてのコラムも、不定期ではありますが順次掲載していく予定ですので、今後ともご覧いただき、ご参照いただけますと幸いです。

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