Archive for the ‘コラム~通関手続、輸出入トラブル~’ Category

輸入事後調査の現況

2024-12-17

輸入を事業として行っている事業者にとって、『輸入事後調査』という言葉はどこかで聞いたことがあるものかと思います。

日本の輸入通関においては、申告納税方式がとられておりますので、事後的に各輸入申告が適正なものであったかどうかを税関が判断することになります。

そこで、本日は税関が公表した資料を踏まえて、輸入事後調査の現況についてご紹介いたします。

 

1 輸入事後調査の現況

令和5事務年度(令和5年7月から令和6年6月)において、輸入事後調査の調査対象となった輸入者は3576者(前事務年度比108%)、その内申告漏れ等のあった輸入者は2678者であり、調査対象者全体の74.9%に上りました。

 

また、納付不足税額は128億2932万円(前事務年度比137.3%)であり、内関税額は8億5888万円、内国消費税額は119億7043万円でした。

加算税は総額6億2238万円、内重加算税は、4336万円でした。

 

いずれの統計情報でも、不足額は増加傾向にあります。

 

納付不足税額が多い上位5品目ですが。

①光学機器等(90類)で納付不足税額は26億4237万円、

②電気機器(85類)で納付不足税額は17億601万円、

③機械類(84類)で納付不足税額は14億8761万円

④医療品(30類)で納付不足税額は14億7569万円、

⑤自動車等(87類)で納付不足税額は12億6813万円

 

2 輸入事後調査に備えましょう

輸入事後調査は、貨物の輸入を事業として行っている場合にはいつ行われてもおかしくありませんので、日常的に輸入事後調査に備えておくことが重要です。

特別なことをする必要はなく、輸入を事業として行っている事業者であれば当然に実施していなければならない資料の整理等を日常的に行うことが重要です。

輸入事後調査を過度に恐れる必要はなく、日常的に行うべきことを適切に行っていただければ特段問題はないですが、なかなか後回しになり取り掛かることができないケースも多いでしょう。

既に輸入事後調査の実施が決まった、という事業者の方、将来的に事後調査が入っても問題ないように今から準備をしておきたい事業者の方、会社として準備は行っているけれどその準備が適切かどうかわからないので第三者の観点でチェックして欲しいとお考えの事業者の方等、輸入事後調査に関してご不安な点がある場合には、専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

弊事務所では、輸入事後調査に幅広く対応しておりますので、お気軽にご連絡いただけますと幸いです。

関税等脱税事件に係る品目別の処分の実績

2024-12-12

日本に貨物を輸入(ハンドキャリーを含む)する場合には、様々な法規制が存在します。

自分としては悪いことをしている認識がなかったとしても、法規制に違反してしまうとペナルティが発生することもありますので、十分注意する必要があり、軽い気持ちで行ったことが思わぬ重大な犯罪につながることもあります。

本日は、令和5事務年度(令和5年7月から令和6年6月)における関税等脱税事件に係る品目別の処分の実績に関する統計情報(税関公表)をご説明いたします。

 

1 品目別の処分の現状

①金地金は102件、脱税額は3億5550万円、

②たばこは25件で、脱税額は933万円、

③腕時計は19件で、脱税額は2498万円、                                              

④バッグ類は7件で、脱税額は412万円、

⑤アクセサリー類は2件で、脱税額は2万円、                                                                                                                                       

⑥化粧品類は1件で、脱税額は21万円、

⑦食品・酒類は2件で、脱税額は3万円、

 

2 品目別の処分を踏まえた現在の状況

品目別の処分を踏まえた現在の状況を考えると、やはり件数、脱税額のいずれに関しても金地金の密輸が圧倒的なウェイトを占めるということが分かります。

いわゆるコロナの流行期間においては海外との往来が行われておりませんでしたが、それ以前の期間から金地金の密輸は大問題として存在しておりました。

要するに、海外で金を購入し、日本に密輸して日本で販売すれば消費税分を丸々利益にすることができるということで、若い学生などを運び屋にして金地金の密輸をすることが多かったわけですが、現状でも金地金の密輸が非常に多く行われていることが分かります。

金地金の密輸によって得られる利益は、いわゆる反社会的勢力の資金源になることも多く、今後金地金の密輸は徹底的に撲滅していくことが必要です。

海外と往来する場合に、安易な気持ちで運び屋のようなことは引き受けないということは改めて強く認識していただく必要があります。

 

3 貨物の輸入、持ち込みに伴うトラブルにはご注意ください

貨物の輸入、持ち込みに伴うトラブルには様々な種類がありますが、要するに、持ち込みが禁止されているもの(いわゆる禁制品)の持ち込みを試みるケースと、脱税目的で密輸するケースが大半です。金地金の密輸は後者です。

これらはいずれも重大な犯罪ですので、絶対に行ってはいけないことは言うまでもありませんが、軽い気持ち(バイト感覚)で知り合いから頼まれたから等の理由で行ってしまう人も一定程度存在します。

行ってしまったことは取り消せませんので、もしこれらの輸入におけるトラブルに巻き込まれてしまった場合には、速やかに専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

関税等脱税事件に係る脱税額の推移

2024-12-07

日本に貨物を輸入(ハンドキャリーを含む)する場合には、様々な法規制が存在します。

自分としては悪いことをしている認識がなかったとしても、法規制に違反してしまうとペナルティが発生することもありますので、十分注意する必要があり、軽い気持ちで行ったことが思わぬ重大な犯罪につながることもあります。

本日は、令和5事務年度(令和5年7月から令和6年6月)における関税等脱税事件に係る脱税額の推移に関する統計情報(税関公表)をご説明いたします。

 

1 脱税額の現状

告発に進んだケースの関税額は106万円、内国消費税額は2億5079万円(前事務年度比15.2倍)でした。

次に、通告処分で終了したケースの関税額は778万円、内国消費税額は1億3598万円(前事務年度比72%)でした。

 

2 脱税額を踏まえた現在の状況

脱税額を踏まえた現在の状況を考えると、やはり金地金の密輸が圧倒的なウェイトを占めるということが分かります。

いわゆるコロナの流行期間においては海外との往来が行われておりませんでしたが、それ以前の期間から金地金の密輸は大問題として存在しておりました。

要するに、海外で金を購入し、日本に密輸して日本で販売すれば消費税分を丸々利益にすることができるということで、若い学生などを運び屋にして金地金の密輸をすることが多かったわけですが、現状でも金地金の密輸が非常に多く行われていることが分かります。

金地金の密輸は徹底的に防ぐことが必要であることは今更言うまでもありませんが、徹底的に防ぐことが重要であることは改めて強調したいところです。

 

3 貨物の輸入、持ち込みに伴うトラブルにはご注意ください

貨物の輸入、持ち込みに伴うトラブルには様々な種類がありますが、要するに、持ち込みが禁止されているもの(いわゆる禁制品)の持ち込みを試みるケースと、脱税目的で密輸するケースが大半です。金地金の密輸は後者です。

これらはいずれも重大な犯罪ですので、絶対に行ってはいけないことは言うまでもありませんが、軽い気持ち(バイト感覚)で知り合いから頼まれたから等の理由で行ってしまう人も一定程度存在します。

行ってしまったことは取り消せませんので、もしこれらの輸入におけるトラブルに巻き込まれてしまった場合には、速やかに専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

貨物の原産地の表示にはご注意ください

2024-11-27

貨物を輸入する際に、原産地を貨物上に記載、掲載している場合も多いと思います。

原産地表示は、原産地規則に基づいて行う必要があり、また、日本国内で商品を販売する場合も、正確な原産地を記載しないと景品表示法等で問題となるリスクがありますので、正確に記載する必要があります。

貨物の原産地を決定するための基準の概要は、以下の通りですので、ご参考となれば幸いです。

 

1 完全生産品基準

貨物が完全に特定の国で生産された場合、この基準が適用されます。

例えば、農産物や鉱物など、その国で完全に採取・生産されたものが該当します。

 

2 実質的変更基準

 貨物がある国で加工・製造され、その結果、製品の性質や用途が大きく変わった場合に適用されます。この基準には具体的には以下の方法があります。

①HSコード変更基準

貨物の関税分類(HSコード)が製造過程で変更された場合です。

例えば、生地(HSコード:5208)が特定の国で縫製されてシャツ(HSコード:6105)になった場合、加工により商品分類(HSコード)が変わるため、実質的変更が行われたと判断されます。この基準は、単純な梱包や組み立てなどでは適用されず、製品の性質や用途が明確に異なることが求められます。

②付加価値基準

加工後の貨物における特定国での付加価値の割合が一定以上の場合です。

たとえば、自動車部品の輸入材料がある国で組み立てられ、完成車として輸出される場合です。この際、完成品に占める原材料費や輸入部品の割合を差し引いた「現地での加工付加価値」が40%以上であれば、実質的変更と見なされます。

 

③ 製造工程基準

特定の製造工程が行われた場合に適用

例えば、未加工のカカオ豆がある国でローストされ、チョコレートに加工される場合、特定の製造工程(焙煎や成形など)が行われたことにより、商品が別のものとみなされます。

この基準では、工程の重要性や不可逆性が重視されます。

 

3 原産地の表示にはご注意ください

国際貿易において『原産地規則』は非常に重要な役割を果たします。

また、日本国内で商品を販売する場合も、景品表示法等の関係で原産地表示は正確に行う必要があります。

『原産地規則』は、ある製品がどの国で「生産された」とみなされるかを決定する基準を指し、輸入ビジネスを行う上で、このルールを正しく理解することは、関税や通関の手続き、また日本国内での商品の販売のいずれにおいても不可欠です。

少しでも不安な点がある場合には、まずは専門家にお問合せいただくことをお勧めいたします。

該非判定の基本的な流れに改めてご注意ください

2024-05-22

外為法上、貨物を輸出する場合には、リスト規制、キャッチオール規制といった規制の該当性を判断しなければならないことは、貨物の輸出を業として行っている法人や個人事業主の方に広く知られていることと思います。

また、大学や各種研究機関においては、共同研究や留学生の受け入れ等、外為法の規制該当性に関して非常に微妙な判断をする必要がある場面も多くあります。

 

1 貨物の該非判定の基本的な流れ

貨物を輸出する場合には、外為法上の規制該当性を判断するための該非判定を行う必要があります。

ここでは、形式的に貨物の表面上の内容を検討するだけでは不十分であり、例えば機械の場合には、装置内部に弁やポンプ、制御装置などがある場合にはそれぞれを個別に検討する必要が生じる場合もありますし、機械に使用されている技術として、内部プログラムやマニュアルなどについて個別に検討する必要が生じる場合もあります。

貨物等省令を前提に、運用通達や役務通達を踏まえて判断していくことになりますが、単に形式的な用語を判断するだけでは不十分であり、実質的な機能などに着目する必要がある点は改めて留意が必要です。

マトリクス表の利用等、該非判定に慣れている方も改めて検討の順序や方法をご確認いただくことをお勧めいたします。

 

2 外為法の規制には十分ご注意ください

貨物を輸出する場合(及び技術を国際間で移転、提供する場合)には、外為法上の厳格な規制が存在します。

日本国内で購入したものであるから、海外に輸出しても問題ないと安易に考えることは非常に危険であり、日本国内で一般に販売されている物品であっても、海外に輸出する際には規制対象となる品目は多数存在します。

日用品として用いる小さな機械製品であっても大量破壊兵器や一般兵器に転用することが可能な場合は多数存在します。

また、外為法上の許可を取得することが煩雑であることから、安易に特例の適用があると判断することは非常にリスクの高い行為であるといわざるを得ません。

知らなかったでは済まされず、重大な犯罪行為(ひいては国際的な平和を損なう行為にもなりかねないことはくれぐれも気を付けるべきです。)となってしまい、違反した場合には重い刑事罰等も存在しますので、貨物を輸出する場合(及び技術を国際間で移転、提供する場合)において、外為法の規制内容に少しでも不安がある場合には、事前にご相談いただくことを強くお勧めいたします。

知的財産権を侵害する輸入差止物品の品目

2024-05-17

知的財産権保護は世界中で広く求められている権利保護ですが、実際問題として、知的財産権を侵害する事例は後を絶ちません。

昨今では、PCやプリンター、生成AI等の発展によって、知的財産権を侵害する物品を作成することは従来よりも大幅に容易になりました。

このような状況の中で、税関の水際で知的財産権を侵害する物品として差止を受ける商品も年々増加しております。

 

1 令和5年における知的財産権を侵害する輸入差止物品の品目

税関の公表資料によれば、

①輸入差止件数は、衣類が1万401件、次いで財布やハンドバッグなどのバッグ類が9028件、靴類が4448件、携帯電話及び付属品が3373件でした。

②輸入差止点数は、煙草及び喫煙用具が31万7764点、次いで医薬品が11万8190点、衣類が8万4403点、イヤホンなどの電気製品が6万8976点でした。

 

件数としては、近年通りの傾向であり、衣類やバッグ類、靴類が多くの割合を占めております。他方で、点数としては、煙草及び喫煙用具が圧倒的に多く、これはこれまでの年度にはなかったことでした。点数については、1度の輸入で大量に輸入しようとする事業者がいると大きく割合が変わってきますので、件数とは異なり毎年点数ベースでの品目の割合は異なってくる印象です(なお、令和4年度は、医薬品や電気製品の方が煙草及び喫煙用具よりも点数ベースで多かったです。)。

 

2 知的財産権を侵害する物品の輸出入には十分ご注意ください

知的財産権を侵害する物品を輸出入してしまった場合、単に行政罰が課されるだけではなく、悪質なケースでは告発が行われて刑事事件となるリスクもございます。

物品を輸出する以上、日本での知的財産権の侵害には該当しない等、都合のよい解釈を行って問題と誤解していた場合でも、法律に違反していれば違法となってしまいます。

また、意図的ではなかったとしても、意図的ではなかったということを証明することは難しい場合が多く、意図的だったか、それとも単なる不注意だったのか、ということは言葉で言うほど判別は簡単ではありません。

一度このような形で違法な輸出入を行ってしまうと、その後、輸出入を事業として継続することが難しくなる可能性もありますので、知的財産権を侵害する物品の輸出入にはくれぐれもご注意ください。

当事務所では、輸出入をめぐるトラブルのご相談を幅広くお受けしておりますので、既にトラブルが発生している場合や、事業を開始する前のリーガルチェック等、お気軽にご連絡ください。

知的財産権を侵害する輸入差止物品の種類

2024-05-12

知的財産権保護は世界中で広く求められている権利保護ですが、実際問題として、知的財産権を侵害する事例は後を絶ちません。

昨今では、PCやプリンター、生成AI等の発展によって、知的財産権を侵害する物品を作成することは従来よりも大幅に容易になりました。

このような状況の中で、税関の水際で知的財産権を侵害する物品として差止を受ける商品も年々増加しております。

 

1 令和5年における知的財産権を侵害する輸入差止物品の種類

税関の公表資料によれば、

①輸入差止件数は、偽ブランド品を含む商標権侵害物品が3万448件、偽キャラクターグッズを含む著作権侵害物品が863件でした。

②また、輸入差止点数としては、商標権侵害物品が50万824点、次いで加熱式たばこ用カートリッジを含む意匠権侵害物品が44万2073点、著作権侵害物品が7万9221点でした。

 

件数ベースでは、商標権侵害が9割を超えており大半を占めておりますが、点数ベースでは、商標権侵害は5割弱であり、意匠権侵害も4割強を占めております。

商標権侵害が件数ベースでも点数ベースでも1番多い割合を占めることは最近の傾向ですが、著作権侵害と意匠権侵害については、どちらの方が件数や点数が多いかは年度によってまちまちであり、一概には判断できないところです。

貨物を輸入する事業者にとっては、商標権や著作権は馴染みのある概念ですが、意匠権についてはあまりなじみがない方も多い印象ですので、改めて意匠権についても留意する必要があります。

 

2 知的財産権を侵害する物品の輸出入には十分ご注意ください

知的財産権を侵害する物品を輸出入してしまった場合、単に行政罰が課されるだけではなく、悪質なケースでは告発が行われて刑事事件となるリスクもございます。

物品を輸出する以上、日本での知的財産権の侵害には該当しない等、都合のよい解釈を行って問題と誤解していた場合でも、法律に違反していれば違法となってしまいます。

一度このような形で違法な輸出入を行ってしまうと、その後、輸出入を事業として継続することが難しくなる可能性もありますので、知的財産権を侵害する物品の輸出入にはくれぐれもご注意ください。

当事務所では、輸出入をめぐるトラブルのご相談を幅広くお受けしておりますので、既にトラブルが発生している場合や、事業を開始する前のリーガルチェック等、お気軽にご連絡ください。

知的財産権を侵害する物品の仕出国等の状況

2024-05-07

知的財産権保護は世界中で広く求められている権利保護ですが、実際問題として、知的財産権を侵害する事例は後を絶ちません。

昨今では、PCやプリンター、生成AI等の発展によって、知的財産権を侵害する物品を作成することは従来よりも大幅に容易になりました。

このような状況の中で、税関の水際で知的財産権を侵害する物品として差止を受ける商品も年々増加しております。

 

1 令和5年における知的財産権を侵害する物品の仕出国等の状況

税関の公表資料によれば、

①輸入差止件数は、3万1666件にのぼり、その内件数が多い順に、中国を仕出しとするものが2万5271件、ベトナムを仕出しとするものが2690件、韓国を仕出しとするものが751件となっております。

②また、輸入差止点数としては、105万6245点であり、その内件数が多い順に、中国を仕出しとするものが92万1579点、ベトナムを仕出しとするものが6万6487点、香港を仕出しとするものが2万7720点となっております。

 

仕出国の9割以上を中国が占めていた時期もありましたが、最近は8割前後となっており、ベトナムの割合が1割前後と増加している印象です。また、かつては韓国を仕出国とする貨物が非常に多かったようですが、最近では韓国が占める割合は少なくなっております。

自分としては正規品を輸入しているつもりであっても、知的財産権を侵害する物品を輸入してしまっているケースも相当程度あるようですので、これらの国からブランド品等を輸入する場合には、知的財産権を侵害していないかどうかについて改めてご確認いただいた方が良いでしょう。

 

2 知的財産権を侵害する物品の輸出入には十分ご注意ください

知的財産権を侵害する物品を輸出入してしまった場合、単に行政罰が課されるだけではなく、悪質なケースでは告発が行われて刑事事件となるリスクもございます。

物品を輸出する以上、日本での知的財産権の侵害には該当しない等、都合のよい解釈を行って問題と誤解していた場合でも、法律に違反していれば違法となってしまいます。

一度このような形で違法な輸出入を行ってしまうと、その後、輸出入を事業として継続することが難しくなる可能性もありますので、知的財産権を侵害する物品の輸出入にはくれぐれもご注意ください。

当事務所では、輸出入をめぐるトラブルのご相談を幅広くお受けしておりますので、既にトラブルが発生している場合や、事業を開始する前のリーガルチェック等、お気軽にご連絡ください。

知的財産侵害物品の差止状況について

2024-05-02

知的財産権保護は世界中で広く求められている権利保護ですが、実際問題として、知的財産権を侵害する事例は後を絶ちません。

昨今では、PCやプリンター、生成AI等の発展によって、知的財産権を侵害する物品を作成することは従来よりも大幅に容易になりました。

このような状況の中で、税関の水際で知的財産権を侵害する物品として差止を受ける商品も年々増加しております。

 

1 令和5年における知的財産権を侵害する物品の差止状況

税関の公表によれば、

①輸入差止件数は、3万1666件にのぼり、前年比17.5%増です。

②また、輸入差止点数としては、105万6245点であり、前年比19.7%増でした。

③そして、輸入差止価額は、推計で約171億円となります。

 

私の実感としては、やはり偽ブランド品や偽キャラクターグッズ(いわゆる海賊版等)が非常に多い印象です。

海外で製作したものだから日本の知的財産権の侵害には該当しないのではないか、というような言い訳を行う方もいらっしゃいますが、知的財産権を侵害する物品を日本に持ち込むことは違法となりますので、どこで製作した物品であるかということは関係ありません。また、キャラクターグッズとして正確に作成している以上、問題ないのではないかという質問もたまにありますが、著作権上は、無断で複製をすること自体が違法となりますので、権利者の許可なくグッズを製作している段階で違法となってしまっていることには十分に注意が必要です。

 

2 知的財産権を侵害する物品の輸出入には十分ご注意ください

知的財産権を侵害する物品を輸出入してしまった場合、単に行政罰が課されるだけではなく、悪質なケースでは告発が行われて刑事事件となるリスクもございます。

物品を輸出する以上、日本での知的財産権の侵害には該当しない等、都合のよい解釈を行って問題と誤解していた場合でも、法律に違反していれば違法となってしまいます。

一度このような形で違法な輸出入を行ってしまうと、その後、輸出入を事業として継続することが難しくなる可能性もありますので、知的財産権を侵害する物品の輸出入にはくれぐれもご注意ください。

当事務所では、輸出入をめぐるトラブルのご相談を幅広くお受けしておりますので、既にトラブルが発生している場合や、事業を開始する前のリーガルチェック等、お気軽にご連絡ください。

電子取引情報の保存方法について

2024-01-23

輸入や輸出を業とする個人、法人は、該当の貨物に関する品名、数量及び価格等を記載した帳簿を備え付け、帳簿、書類及び電子データを保存する義務を負います。

ただ、実際のところ、このような各書類の保存を適切に行うことができていない事業者も多く存在するように思います。

また、一概に電子データといっても、どのようなデータとすべきか、よくわからない、保存方法が分からない等、実務としての対応に不安がある方も多いのではないでしょうか。

本日は、電子取引情報の保存方法に関して、税関の実務上の考え方をご紹介いたします。

 

1 電子取引情報の保存方法について

①電子メールに請求書等の書類が添付された場合の保存方法について

請求書等の書類が添付された電子メールそのものを自社システム上に保存する必要があります。または、添付された請求書等をサーバ等に保存する必要があります。

②発行者のウェブサイト上で領収書等をダウンロードする場合の保存方法について

まず、PDF データ等をダウンロードできる場合には、ウェブサイトに領収書等を保存する、又はウェブサイトから領収書等をダウンロードしてサーバ等に保存する必要があります。

次に、HTML データで表示される場合には、ウェブサイト上に領収書を保存する、又はウェブサイト上に表示される領収書をスクリーンショットし、サーバ等に保存する必要があります。また、ウェブサイト上に表示された HTML データを領収書の形式に変換し、サーバ等に保存することも可能です。

 

2 輸入や輸出の手続には様々なルールが存在します

関係書類や電子データの保存義務は、あくまでも様々な手続の中の一つであり、これ以外にも様々なルールが存在します。

これらのルールを適切に遵守しない場合には、輸入や輸出の手続が停止してしまうことや、脱税、密輸等の行政事件、刑事事件に発展するリスクも十分あります。

いずれにしても、ビジネス上は大きな支障となりますし、また、そもそも人生そのものに対しても大きな悪影響となり得ます。

これまで問題なく輸入や輸出をすることができたから問題ないと過信することは非常に危険です。一度問題が発生した場合には上記のとおり、取り返しのつかない状況となってしまうからです。

まずは、自社のビジネス上の各手続が問題ないかどうかをしっかりとチェックすることが重要ではありますが、様々なルールを正確に理解することが前提となりますので、ご不安な点がある場合には、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

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