Archive for the ‘コラム~人事労務・労使トラブル~’ Category

4要素を軽視して整理解雇を実施した場合について

2022-11-28

整理解雇の有効性の判断においては、4要素を中心に判断される点については、これまで本コラムにおいてご紹介してまいりました。
本日は、このような4要素を軽視して整理解雇を実施した場合に関する裁判例をご紹介いたします。
ご参照いただけますと幸いです。

 

1 山田紡織事件(名古屋高判平18・1・17労判909・5)

【判示の概要】
控訴人(会社側のこと)は、本件解雇が、民事再生法に基づく再生手続申立後の解雇であり、控訴人には、紡績業の廃止以外に選択肢はなかったから、選択可能な複数の経営判断が成立する場合の「整理解雇」の概念には該当するものではなく、権利濫用の法理が適用されるべき前提としての「雇用者の専横」が認めらないし、やむを得ない理由に基づいて行われたもので有効であると主張するが、いずれも独自の見解であり、にわかにこれを採用することはできない。
本件解雇は整理解雇であって、整理解雇の有効性を判断するための4要素を具備していない本件解雇は解雇権の濫用として無効である。

控訴人は、再生計画案提出時の経営状況に関して、その実情は破産状態であったし、現時点での経営状態も破産原因を内包していることに変わりはないと主張するが、債務超過や破産状態であるか否かは、整理解雇の効力を判断するに当たり、4要素の一つである「人員削減の必要性」の一事情として考慮されることは当然としても、そのこと自体で、4要素の履践の要否や解雇の正当性の有無の判断を不要としたり、またその判断に直接影響を及ぼす事情ではなく、この点に関する控訴人の主張も採用できない。

 

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弁護士に相談をした方がよいかお悩みの方もいらっしゃるものと思いますが、お悩みをご相談いただくことで、お悩み解消の一助となることもできます。
日々の業務の中で発生する人事労務に関するご相談や、新しい労働関連法規の成立、修正により自社にどのような影響が生じているかを確認したいといった場合まで、人事労務に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。

解雇権濫用により整理解雇を無効とした裁判例

2022-11-21

本日は、解雇権濫用により整理解雇を無効とした裁判例をご紹介いたします。
整理解雇の有効性に関しては、これまでも本らコラムにおいて何度かご紹介してまいりました。
会社側、労働者側いずれにとっても、整理解雇の有効性は非常に重要な問題となりますので、是非ご参照いただけますと幸いです。

 

1 あさひ保育園事件(最判昭58・10・27労判427・63)

保育園において園児の数が減少したことに伴い、人員を整理するために保母の一部を解雇したことが解雇権濫用に該当し無効であるかどうかが問題となった事案です。

【判示の概要】
原審の適法に確定した事実関係のもとにおいては、上告人において、園児の減少に対応し保母二名を人員整理することを決定すると同時に、被上告人ほか一名の保母を指命解雇して右人員整理を実施することを決定し、事前に、被上告人を含む上告人の職員に対し、人員整理がやむをえない事情などを説明して協力を求める努力を一切せず、かつ、希望退職者募集の措置を採ることもなく、解雇日の六日前になって突如通告した本件解雇は、労使間の信義則に反し、解雇権の濫用として無効である、とした原審の判断は、是認することができないものではなく、原判決に所論の違法はない。

以上の裁判例は、整理解雇の有効性を判断する4要素の内の解雇回避努力義務に関するものですが、整理解雇が無効と判断される一つの典型的な事案といえますので、他の事案でも参考となる裁判例といえます。

 

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従業員が秘密保持義務に違反した場合における懲戒処分

2022-11-14

本日は、従業員が秘密保持義務に違反した場合における懲戒処分に関する裁判例をご紹介いたします。
ご参照いただけますと幸いです。

 

1 古川鉱業事件(東京高判昭55・2・18労民31・1・49)

本事案は、従業員が、極秘資料を複写し、社外に漏洩させた行為について、労働協約及び就業規則上の秘密保持義務に違反するかどうかが問題となった事案です。

【判示の概要】
労働者は労働契約にもとづく附随的義務として、信義則上、使用者の利益をことさらに害するような行為を避けるべき責務を負うが、その一つとして使用者の業務上の秘密を洩らさないとの義務を負うものと解せられる。信義則の支配、従つてこの義務は労働者すべてに共通である。もとより使用者の業務上の秘密といつても、その秘密にかかわり合う程度は労働者各人の職務内容により異るが、管理職でないからといつてこの義務を免れることはなく、又自己の担当する職務外の事項であつても、これを秘密と知りながら洩らすことも許されない。
このような義務は、仮に自己の担当する業務についても同様に課されるものであり、秘密を漏洩することは許されない。

 

以上のとおり、従業員が秘密保持義務に違反した場合には、懲戒処分の対象となりますが、どのような場合でも一律に懲戒処分の対象とすることができるわけではなく、具体的な経緯等を踏まえる必要がありますので、注意が必要です。

 

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会社が行う調査を従業員が拒否することができるかどうか

2022-10-31

本日は、会社側が従業員に対して調査を実施する場合、従業員側が全面的に調査に協力する義務があるか、それとも従業員側には一定の場合には調査を拒否することが可能か、という点が問題となった裁判例をご紹介いたします。
ご参照いただけますと幸いです。

 

1 富士重工業事件(最判昭52・12・13労判287・7)

【判示の概要】
企業が企業秩序違反事件について調査をすることができるということから直ちに、労働者が、これに対応して、いつ、いかなる場合にも、当然に、企業の行う右調査に協力すべき義務を負つているものと解することはできない。なぜなら、労働者は、労働契約を締結して企業に雇用されることによつて、企業に対し、労務提供義務を負うとともに、これに付随して、企業秩序遵守義務その他の義務を負うが、企業の一般的な支配に服するものということはできないからである。

当該労働者が他の労働者に対する指導、監督ないし企業秩序の維持などを職責とする者であつて、右調査に協力することがその職務の内容となつている場合には、右調査に協力することは労働契約上の基本的義務である労務提供義務の履行そのものであるから、右調査に協力すべき義務を負うものといわなければならないが、右以外の場合には、調査対象である違反行為の性質、内容、当該労働者の右違反行為見聞の機会と職務執行との関連性、より適切な調査方法の有無等諸般の事情から総合的に判断して、右調査に協力することが労務提供義務を履行する上で必要かつ合理的であると認められない限り、右調査協力義務を負うことはないものと解するのが、相当である。

 

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労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置

2022-09-26

使用者は、労働者毎の労働時間する等を賃金支払の都度、賃金台帳に記入する必要があり、違反した場合には、罰則もあります(労働基準法108条、120条1号等)。
使用者としては労働時間を適切に把握することが必要となりますが、実際にどのように把握すればよいか難しい面もあります。
そこで、厚生労働省は、平成29年1月20に、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を公表いたしました。
本日は、当該ガイドラインで規定されている労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関してご紹介いたします。
ご参照いただけますと幸いです。

 

1 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置

①労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録すること。

②①の確認方法としては、使用者が自ら現認又は、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を利用すること。

③②の方法を取らず自己申告制を採用する場合には、自己申告制の対象となる労働者に対して、本ガイドラインを踏まえ、適正に自己申告を行うこと等の説明を行うほか、必要に応じて実態調査等も行うこと。

④労働基準法第108条及び同法施行規則第54条により、労働者ごとに、労働日数、労働時間数等を適正に記入しなければならないこと。

⑤使用者は、出勤簿やタイムカード等の労働時間の記録に関する書類についても、3年間保存しなければならないこと(労働基準法109条)。

⑥労務管理の責任者は、当該事業場内における労働時間の適正な把握等労働時間管理の適正化に関する事項を管理すること。

⑦使用者は、事業場の労働時間管理の状況を踏まえ、必要に応じ労働時間等設改善委員会等の労使協議組織を活用し、問題点及びその解消策等の検討を行うこと。

 

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労働者側が行う採用内定辞退

2022-09-19

採用内定取消しに関しては、会社側から行われる場合がよく問題とされます。
もっとも、労働者も内定辞退を2週間の予告期間を置く場合には自由に行うことが出来るのが原則です(民法626条、627条)。
これまで、本コラムにおいて、会社側から行われる内定取消しに関する会社の損害賠償責任に関してご紹介いたしました。
そこで、本日は、労働者側が行う採用内定辞退に関して参考となる裁判例をご紹介いたします。
採用内定に関する問題は、企業、労働者を問わず重要ですので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 アイガー事件(東京地判平成24・12・28労働経済判例速報2175・3)

【判示の概要】
原告は、入社日の前日である同月31日までに、本件3・31書面をもって、被告会社に対し、黙示に本件内定辞退の申入れを行ったものと認めるのが相当である。
そして、具体的な事実経過に照らすと本件内定辞退の申入れは、上記信義則上の義務に違反することはもとより、その程度もかなり大きいものといえなくもない。
もっとも、本件内定辞退の申入れは、信義則上の義務に著しく違反する態様で行われたものであるとまではいい難く、したがって、原告は、この点に関し、債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償責任を負うものではない。
よって、本件内定辞退(債務不履行又は不法行為)に基づく被告会社の損害賠償請求は、その余の点を検討するまでもなく理由がない。

 

以上のとおり、労働者側からの内定辞退は、場合によっては損害賠償責任を発生させることになりますが、内定辞退の態様が信義則上の義務に著しく違反する態様であると認められることが必要とされており、そのハードルは非常に高いものと考えられます。

 

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私生活上の行為に対する懲戒処分に関して参考となる裁判例

2022-08-29

企業外、すなわち私生活上の行為についても懲戒処分の対象となることについては先日のコラムにおいてご紹介いたしました。
本日は、私生活上の行為に対する懲戒処分に関して参考となる裁判例をご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 笹谷タクシー事件(最判昭53・11・30労判913・113、仙台高判昭50・10・16労判238・47)

本事案は、タクシー運転手が職場外での飲酒運転により衝突事故を起こしたところ、飲酒運転の車両に同乗していた先輩運転手に対しても懲戒解雇を行ったという事案です。

【判示の概要】
従業員の職務外でなされた職務遂行に関係のない行為についても、使用者の懲戒権が及ぶことは最高裁判所の判例が認めるところであつて、そもそも使用者が従業員に対し課する懲戒は広く企業秩序を維持確保し、もつて企業の円滑な運営を可能ならしめるための制裁罰であり、利益追求を目的とする企業体である会社が名誉、信用その他相当な社会的評価を享けることは経営秩序、企業財産を維持し生産向上を図るうえにおいて欠くべからざるものであり、従業員の企業外の行為がそれ自体において不名誉な行為として社会的非難に値するものであり、その結果会社の社会的評価を損うおそれがあるとみられる場合は懲戒事由となりうるものである(最高裁判所昭和四九年二月二八日第一小法廷判決、同年三月一五日第二小法廷判決)。

控訴人(先輩運転手のこと。以下同様。)は刑事処分を受けておらず、右A(運転手のこと。以下同様。)も飲酒運転について刑事処分を受けていないが、これは控訴人らが事故報告をせず逃走していたため、右Aについて飲酒検査ができなかつた結果刑事処分ができず、控訴人についても同様飲酒運転の教唆等による刑事処分ができないでしまつたものであり、事故後ただちに飲酒検査を受けていれば右Aも控訴人も当然に刑事処分を受けた筈である。また、本件について新聞等に報道されなかつたのは、被控訴人が報道機関に懇請して報道を差止めてもらつたからであるが、本件は同業者間にはただちに知れわたつており、被害者である前記Cらから世間には相当伝わつており、被控訴人の信用は低下したものである。

 

本事案は、先輩運転手が後輩運転手に飲酒を勧めた上で自動車を運転させたという事情等を踏まえた事例判断ですが、私生活上の行為に対する懲戒処分に関して参考となる裁判例といえます。

 

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試用期間の延長について

2022-07-11

従業員の試用期間を延長することは、就業規則等で具体的な内容を明記しない限りは法的には無効であり認められないと考えられております。
本日は、この点に関して参考となる裁判例をご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 試用期間の延長について

この点について、参考となる裁判例として、ブラザー工業事件(名古屋地判昭59・3・23労判439・63)があります。

【判示の概要】
現行の社員登用制度の内容及び中途採用者の雇用の実態に基づいて右規定を法律的に解釈すると、見習社員が試用社員に登用された時点において、当該試用社員と会社との間に見習社員契約とは別個の期間の定めのない雇用契約が新たに成立し、右契約において原則として六か月の試用期間中に会社において当該試用社員が会社の正規従業員として不適格であると認めたときは、それだけの理由で右雇用契約を解約し得るという解約権を留保したものと解するのが相当である。

一般に、試用期間中の留保解約権に基づく解雇については本採用後の通常の解雇の場合よりも広い範囲の自由が認められるものと解されているから、試用期間中の労働者の地位は本採用後の労働者の地位に比べて不安定であるというべきである。会社においても、〈疎明〉によれば、社員の場合は、無届欠勤でない限り長期間病気欠勤をしても他企業のように休職制度はない代わり解雇されることはないことが認められるのに対し、前認定の中途採用者登用制度の内容によると、見習社員及び試用社員であると病気欠勤も勤怠基準である欠勤換算日数の中に一定の割合で算入されるためそれが長期に及べば雇止め又は解雇されることになるから、この一事からしても、見習社員及び試用社員の地位は社員に比べて不安定であることが明らかである。また、前認定のとおり、選考基準が改訂される場合は、改定後の基準が選考対象者に事前に周知されないため、選考対象者としてはどの程度の勤務・勤怠状態であれば不合格になるかの予測を立てることが不可能であることも見習社員及び試用社員の地位を不安定にさせているというべきである。
右のとおり、試用期間中の労働者は不安定な地位に置かれるものであるから、労働者の労働能力や勤務態度等についての価値判断を行なうのに必要な合理的範囲を越えた長期の試用期間の定めは公序良俗に反し、その限りにおいて無効であると解するのが相当である。

以上のとおり、試用期間の延長に関しては、会社に規定がある場合でも公序良俗に反するとして無効と判断される可能性がありますので、十分注意する必要があります。

 

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採用内定取消しと損害賠償

2022-06-20

本日は、採用内定取消し場合に、会社側が負う損害賠償義務に関する裁判例をご紹介いたします。
様々な事情からやむなく採用内定取消しを行う必要が生じる場合もあるものと思いますが、会社にどのような損害賠償義務が発生するかを認識しておくことは非常に重要ですので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 採用内定取消しと損害賠償

事案としては、会社側による内定契約の違法取消を理由として、内定予定者が会社に対して再就職までの逸失利益や慰謝料(400万円)等合計約735万円の支払いを求めた事案です。

【判示の概要】
原告(内定予定者)と被告代表者とは本件訪問の際、原告が将来訴外会社を退職して被告に入社すること、その際の労働条件として被告が原告に対して基本給として月額25万円を支給し別途法律に従った残業代も支給すること、を内容とする労働契約(本件内定契約)が成立したものというべきである。
原告は本件内定契約の成立を受けて訴外会社を退職したこと、原告は現在本件再就職先に就職して収入を得ているが、原告の現在の収入は訴外会社に勤務していた場合に比べて減少していることの各事実が認められる。他方、原告の収入に係る上記減少の額を認めるに足りる的確な客観的証拠は見当たらないことを始め、その他本件に現れた一切の事情を斟酌すれば,被告が原告に対して支払うべき慰謝料の額は50万円が相当であるというべきである。

 

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同じ会社との間で複数の雇用契約を締結した場合における労働時間の考え方

2022-05-23

先日のコラムにおいて、複数の事業者との間で雇用契約を締結した場合における労働時間の考え方をご紹介いたしました。
本日は、同じ会社との間で複数の雇用契約を締結した場合における労働時間の考え方をご紹介いたします。
経営者の方にとっては非常に重要な考え方となりますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 同じ会社との間で複数の雇用契約を締結した場合における労働時間の考え方

この点について、参考となる裁判例として、千代田ビル管財事件(東京地判平18・7・26労判923・25)をご紹介いたします。
この事件は、Aという会社のパートタイマーとして「清掃夜勤契約」を締結した従業員が、その後、A社の正社員として「清掃日勤(深夜)契約を締結して働いた場合において、労働時間の考え方が問題となった事案です。

【判示の概要】
両契約は、当事者が同一、就労場所が同一であること、両契約は勤務時間が違うだけであるという側面があること、清掃夜勤に続いて清掃日勤(深夜)契約が正社員契約であり、本件清掃夜勤契約がパートタイマー契約であること等が認められ、これらの諸事実に照らすと、原告は、被告の正社員として22時から6時までの間就労義務を負っており、これに加えて、清掃夜勤として18時から20時30分までの間働くのは、本件清掃日勤(深夜)契約の時間外労働、換言すれば早出残業をしていると位置づけるのが相当である。

 

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