退職願の撤回が認められた裁判例について

先日のコラムにおいて、退職願の撤回が認められない場合に関する裁判例をご紹介いたしました。
本日は、これとは反対に、退職願の撤回が認められた裁判例をご紹介いたします。
併せてご参照いただけますと幸いです。

 

1 山陽電機軌道事件(岡山地判平3・11・19労判613・70)

被用者による雇用契約の合意解約の申込みは、これに対して使用者が承諾の意思表示をし、雇用契約終了の効果が発生するまでは、使用者に不測の損害を与えるなど信義に反すると認められるような特段の事情がない限り、被用者は自由にこれを撤回することができるものと解するのが相当である。
原告(被用者のこと。以下同様。)の撤回届が本件退職届提出から一週間経過して到達しているが、その間、常務や営業部長には原告の退職届の撤回について打診があり、また、労働組合が原告の撤回の意思を伝えて被告と団体交渉を継続していたことが認められ、結局、本件退職届による雇用契約の合意解約申入れの意思表示は、被告の承諾以前に撤回されたものといえる。
なぜなら、原告が本件退職願を提出するに至った経過に照らしてみれば、常務が専務取締役との協議を経ることなく単独で即時退職承認の可否を決し、その意思表示をなしえたということはできないからである。

上記の裁判例では、退職願を受理した常務が、当該従業員についての人事権を有していなかったことから、退職願の撤回が認められました。
先日ご紹介した裁判例と同様に、退職願を受理したものが、当該従業員の人事権を有しているか否かが重要な判断基準となるものと考えられます。

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、人事労務に関するご相談を幅広くお受けしております。
弁護士に相談をした方がよいかお悩みの方もいらっしゃるものと思いますが、お悩みをご相談いただくことで、お悩み解消の一助となることもできます。
日々の業務の中で発生する人事労務に関するご相談や、新しい労働関連法規の成立、修正により自社にどのような影響が生じているかを確認したいといった場合まで、人事労務に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。

 

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

03-5877-4099電話番号リンク 問い合わせバナー