日本は貿易大国ですので、貨物の輸入、輸出は日常的に大量に行われております。
日本国内において輸入や輸出を業として行っている法人、個人事業者は多数存在しますので、従事・関与している人数となると非常に多くなります。
このような中で、貨物を輸出する場合の法律を理解せずに貨物の輸出を試みる方も多いため、十分注意が必要です。
1 外為法をご存じですか
貨物を輸入する際には、関税や消費税といった各種の税金を支払うことになる一方で、貨物を輸出する際には、基本的には税金等を支払う必要がないため、深く考えることなく貨物の輸出を試みる事業者の方もいらっしゃいます。
特に、インターネットの発展によりインターネット上で海外から商品の買い付けが行われることも日常的にありますので、ますます貨物の輸出が行われる機会は増えていきます。
このような状況の中で、貨物を輸出する場合、外国為替及び外国貿易法(いわゆる『外為法』)の適用の有無については慎重に検討する必要があるのですが、実際には外為法の検討が不十分、又は検討自体ほとんど行われない状況にある場合も相当程度あります。
貨物の輸出の場合、外為法上、大量破壊兵器等や一般兵器等に利用される可能性がある品目を規制しており、経済産業大臣の許可を得る必要があります。
具体的には、輸出貿易管理令の別表第1に規定する貨物を輸出する場合には輸出規制が規定されており(外為法48条1項、輸出令1条1項)、当該表の1項から15項に係る貨物についての輸出規制は『リスト規制』といい、第16項についての規制を『キャッチオール規制』と呼ばれています。
『リスト規制』、『キャッチオール規制』については、それぞれ確認、検討方法が詳細に規定されており、貨物を輸出する場合には、『リスト規制』及び『キャッチオール規制』に該当しないかどうかを慎重に検討することが必要であり(『該非判定』等と言われます。)、検討せず(又は面倒なので適当な検討で済ませた場合)に規制対象貨物を輸出してしまった場合には、例えば、行為者(個人)については、7年以下の懲役(大量破壊兵器関係は10年以下)若しくは2000万円(大量破壊兵器関係は3000万円)以下の罰金又はその併科の対象となり得ますので(法69条の6)、十分注意が必要です。
2 外為法の規制には十分ご注意ください
以上の通り、貨物を輸出する場合(及び技術を提供する場合)には、外為法上の厳格な規制が存在します。
日本国内で購入したものであるから、海外に輸出しても問題ないと安易に考えることは非常に危険であり、日本国内で一般に販売されている物品であっても、海外に輸出する際には規制対象となる品目は多数存在ます。
知らなかったでは済まされず、重大な犯罪行為となってしまいますので貨物を輸出する場合において、外為法の規制内容に少しでも不安がある場合には、ご相談いただくことを強くお勧めいたします。