労働者側が行う採用内定辞退

採用内定取消しに関しては、会社側から行われる場合がよく問題とされます。
もっとも、労働者も内定辞退を2週間の予告期間を置く場合には自由に行うことが出来るのが原則です(民法626条、627条)。
これまで、本コラムにおいて、会社側から行われる内定取消しに関する会社の損害賠償責任に関してご紹介いたしました。
そこで、本日は、労働者側が行う採用内定辞退に関して参考となる裁判例をご紹介いたします。
採用内定に関する問題は、企業、労働者を問わず重要ですので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 アイガー事件(東京地判平成24・12・28労働経済判例速報2175・3)

【判示の概要】
原告は、入社日の前日である同月31日までに、本件3・31書面をもって、被告会社に対し、黙示に本件内定辞退の申入れを行ったものと認めるのが相当である。
そして、具体的な事実経過に照らすと本件内定辞退の申入れは、上記信義則上の義務に違反することはもとより、その程度もかなり大きいものといえなくもない。
もっとも、本件内定辞退の申入れは、信義則上の義務に著しく違反する態様で行われたものであるとまではいい難く、したがって、原告は、この点に関し、債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償責任を負うものではない。
よって、本件内定辞退(債務不履行又は不法行為)に基づく被告会社の損害賠償請求は、その余の点を検討するまでもなく理由がない。

 

以上のとおり、労働者側からの内定辞退は、場合によっては損害賠償責任を発生させることになりますが、内定辞退の態様が信義則上の義務に著しく違反する態様であると認められることが必要とされており、そのハードルは非常に高いものと考えられます。

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、人事労務に関するご相談を幅広くお受けしております。
弁護士に相談をした方がよいかお悩みの方もいらっしゃるものと思いますが、お悩みをご相談いただくことで、お悩み解消の一助となることもできます。
日々の業務の中で発生する人事労務に関するご相談や、新しい労働関連法規の成立、修正により自社にどのような影響が生じているかを確認したいといった場合まで、人事労務に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。

 

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

03-5877-4099電話番号リンク 問い合わせバナー