休暇日の後に行われた年次有給休暇の時季変更権の行使について

年次有給休暇については、労働者が自由に指定することができるのが原則ですが、例外として使用者が時季変更権を行使することができます。
このような時季変更権の行使は、基本的には、休暇日より前に行使するのが原則的なあり方ですが、休暇日の後に行使することができるかどうかが問題となる場合があります。
そこで、本日は、この点についてご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 休暇日の後に行われた年次有給休暇の時季変更権の行使について

この点について、参考となる判例は、電電公社此花電報電話局事件(最判昭和57・3・18労判381・20)があります。

【判示の概要】
使用者の時季変更権の行使が、労働者の指定した休暇期間が開始し、又は経過した後にされた場合であっても、労働者の休暇の請求自体がその指定した休暇期間の始期にきわめて接近してされたため使用者において時季変更権を行使するか否かを事前に判断する時間的余裕がなかったようなときには、それが事前にされなかったことのゆえに直ちに時季変更権の行使が不適法となるものではなく、客観的に右時季変更権を行使しうる事由が存在し、かつ、その行使が遅滞なくされたものである場合には、適法な時季変更権の行使があった者としてその効力を認めるのが相当である。

以上のとおり、一定の条件の下では、休暇日の後に行われた年次有給休暇の時季変更権の行使が適法と判断されることになります。

 

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