「パワハラ」という言葉が使われるようになって久しく、特に近年はパワハラが社会問題として認知されております。
ところが、どのような行為が「パワハラ」に該当し違法となる可能性が高いのかについては、正確に把握できていない場合も多いのではないでしょうか。
そこで、本日は、どのような行為がパワハラに該当するかをご紹介いたします。
このページの目次
1 パワハラに該当する行為について
パワハラの定義ですが、「働き方改革」の一環として設置された「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」が、平成30年3月に公表した報告書では、
①優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
②業務の適正な範囲を超えて行われること
③身体的もしくは精神的な苦痛を与えること、または就業環境を害すること
以上の3つの要素をすべて満たすものが職場のパワハラと定義されています。
2 パワハラの6つの類型について
上記1で言及した報告書では、パワハラを以下の6つの行為類型に整理しております。
(i)身体的な攻撃、(ii)精神的な攻撃、(iii)人間関係からの切り離し、(iv)過大な要求、(v)過少な要求、(ⅵ)個の侵害
報告書では、裁判例を参考に、パワハラに該当すると考えられる例と該当しないと考えられる例が具体的に示されています。
簡単にご紹介いたしますと、例えば、(ii)精神的な攻撃、に関しては、「上司が部下に対して、人格を否定するような発言をする場合は、パワハラに該当しますが、遅刻や服装の乱れなど社会的ルールやマナーを欠いた言動・行動がみられ、再三注意してもそれが改善されない部下に対して上司が強く注意する場合は、パワハラ要素の②、③に該当しないため、パワハラには当たらない」としています。
また、(iii)人間関係からの切り離しの例では、「自身の意に沿わない社員に対して、仕事を外し、長期間にわたり、別室に隔離したり、自宅研修させたりする場合は、パワハラに該当しますが、新人社員を育成するために短期間集中的に個室で研修等の教育を実施する場合は、パワハラ要素の②に該当しないため、パワハラには当たらない」としています。
以上、報告書の内容をご紹介いたしましたが、もちろん、実際にパワハラに該当するか否かは、個別事情にもよりますので、ご注意ください。
3 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、人事労務を幅広く取り扱っております。
パワハラに関する問題も含め、人事労務に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、当事務所までご遠慮なくご相談ください。