「従業員が独立を企図しており、他の従業員に対して引抜行為を繰り返しているようです。うちの会社は小さな会社なのでこのような引抜行為をされてしまうと会社の業務に甚大な影響が出る可能性があります。引抜行為をしている従業員への対応はどのようにすればよいでしょうか。」、というご相談をお受けすることがあります。
そこで、本日は引抜行為をする従業員の法的責任についてご説明いたします。
このページの目次
1 引抜行為をする従業員の法的責任について
他の従業員に対する引抜行為が単なる勧誘と評価される程度にとどまるのであれば法的責任を負う可能性は低いものと考えられます。
というのも、単なる勧誘程度であれば、従業員の職業選択の自由の範囲内として憲法上保証されると考えられるからです。
他方で、例えば、独立の計画を会社に隠したまま多数の従業員を引抜くなど著しく背信的な方法で行われ、その結果、会社の業務運営に支障が生じ、損害が発生するような場合には、引抜行為を行った従業員は、雇用契約に付随する誠実義務に違反したとして債務不履行責任(民法415条)や、不法行為責任(民法709条)を負う可能性が相当程度あります(大阪地判平14・9・11労判840・62等)。
もっとも、会社の業務運営に支障が生じた結果、損害がどの程度発生したのかを客観的に把握することは非常に難しい面があります。
そこで、実際の損害賠償請求に関しては相当程度のハードルがある点には十分注意をして、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。
なお、引抜行為に関して従業員が負う責任は以上のとおりですが、引抜行為に付随して、会社の営業秘密を持ち出すことも考えられます。
会社の営業秘密に関しては、他のコラムでご紹介しておりますので、ご参照ください。
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、人事労務を幅広く取り扱っております。
引抜行為を行う従業員への対応をはじめ、人事労務に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。