ECサイトにおける著作権侵害について

以前は、企業が消費者に対して商品を販売するという形が商取引の中心でしたが、現在ではECサイトの発展、社会への浸透によって、消費者が消費者に対して商品を販売するといったことが日常的に行われるようになっております。
実際、何らかの形で、そのような消費者間での取引に関与したことがある方も多いのではないでしょうか。

このように消費者間での取引が盛んになることは、ECサイト全体の隆盛につながりますので、望ましいことではありますが、その一方で、安易に著作権侵害をしてしまっているケースも見られます。
そこで、本日は、ECサイトに出品される商品の著作権侵害に関してご紹介いたします。

 

1 ECサイトにおいて物品を出品する場合において著作権侵害となる場合

以下のような著作権侵害には十分注意する必要があります。

①ECサイトを通じて侵害品を販売する場合
譲渡権(著作権法(以下略す。)26条の2、28条)侵害、映画の著作物については頒布権(26条、28条)侵害

②他人が著作権を有する写真(商品画像等)を、無断で、ECサイト上で販売する商品を紹介するための画像として商品ページに掲載する場合
複製権(著作権法21条)侵害、翻案権(27条)侵害、公衆送信権(23条、28条)侵害

 

2 いわゆる「消尽」理論について

他人が著作権を有する商品を公衆に譲渡する場合であっても、その著作権者がいったん販売した真正商品を再販売する行為等については、通常、譲渡権侵害は成立しません(いわゆる「消尽」理論。26条の2第2項)。

他方、著作権者以外の第三者から買い取った著作権侵害品を他へ再販売する行為は譲渡権侵害となりますので注意が必要です。
もっとも、買い取った時点で、その商品について譲渡権が消尽していなかったこと(例えば、当該商品が侵害品であること等)を知らず、かつ、知らないことにつき過失がなかった場合には、その商品を販売する行為は譲渡権侵害とはならないと考えられております(113条の2)。

 

3 弁護士へのご相談をご希望の方へ

ECサイトにおいて消費者間の取引を行うことは非常に簡単で、かつ有益なものですが、その一方で安易な著作権侵害は、想像もしていないトラブルに巻き込まれてしまうことにつながりますので、絶対に行ってはいけません。
仮に、自身が販売した商品または自身が購入した商品が、著作権侵害の疑いがあるのではないかとの疑念がある場合には、まずは、速やかに専門家にご相談いただくことを強くお勧めいたします。

 

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