現実支払価格をベースとした原則的な課税価格の決定方法(別のコラムで特集しておりますので、ご参照ください。)により課税価格を決定することができない輸入貨物については、まず、当該輸入貨物と同種又は類似の貨物に係る取引価格による課税価格の決定方法による評価を試みることとなります。
そこで、本日は、同種又は類似の貨物に係る取引価格による課税価格の決定方法について、ご紹介いたします。
このページの目次
1 「同種の貨物」の意義
「同種の貨物」とは、次の全ての条件を満たす貨物をいいます。
①輸入貨物の本邦への輸出の日又はこれに近似する日に本邦へ向けて輸出されたものであること
②輸入貨物の生産国で生産されたものであること
③形状、品質及び社会的評価を含む全ての点で輸入貨物と同一であること(外見上微細な差異があるものであっても、他の点で同一であるものを含む。)
2 「類似の貨物」の意義
「類似の貨物」とは、次の全ての条件を満たす貨物をいいます。
①上記1の①及び②の二つの条件を満たすものであること
②輸入貨物と全ての点で同一ではないが、同様の形状及び材質の貨物であって当該輸入貨物と同一の機能を有し、かつ、当該輸入貨物との商業上の交換が可能なもの
3 同種の貨物又は類似の貨物に係る取引価格の優先順位
同種の貨物又は類似の貨物に係る取引価格による課税価格の決定方法により課税価格を決定する場合における「同種の貨物に係る取引価格」又は「類似の貨物に係る取引価格」の適用についての優先順位は、次のとおりです。
①同種の貨物に係る取引価格と類似の貨物に係る取引価格との双方があるときは、同種の貨物に係る取引価格が優先します。
②輸入貨物の生産者が生産した同種の貨物に係る取引価格とそれ以外の生産者が生産した同種の貨物に係る取引価格の双方があるときは、輸入貨物の生産者が生産した同種の貨物に係る取引価格が優先します。この優先関係は、類似の貨物に係る取引価格についても応用です。
③上記①及び②によっても、なお競合する同種又は類似の貨物に係る取引価格が二つ以上あるときは、それらの取引価格のうち、最小のものが優先します。
4 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が、輸入・通関に関する国家資格である通関士資格を有しており、輸入・通関のトラブルに関するご相談を幅広く受けております。
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