労働時間の把握が難しい業務の場合には、事業場外労働のみなし制を採用することが考えられます。
これまで本コラムにおいて、事業場外労働のみなし制を何度かご紹介してまいりました。
本日は、事業場外のみなし労働時間制に関して参考となる裁判例をご紹介いたします。
ご参照いただけますと幸いです。
1 事業場外のみなし労働時間制について
この点について、事業場外のみなし労働時間制の適用を否定した裁判例として、ほるぷ社事件(東京地判平9・8・1労民48・4・312)をご紹介いたします。
【判示の概要】
労働基準法38条の2は、事業場外で業務に従事した場合に労働時間を算定しがたいときは所定労働時間労働したものとみなす旨を規定しているところ、本来使用者には労働時間の把握算定義務があるが、事業場外で労働する場合にはその労働の特殊性から、全ての場合について、このような義務を認めることは困難を強いる結果になることから、みなし規定による労働時間の算定が規定されているものである。したがって、本条の適用を受けるのは労働時間の算定が困難な場合に限られるところ、本件における展覧会での展示販売は、具体的な事情を踏まえると、労働時間を算定することが困難な場合とは到底いうことはできず、労働基準法38条の2の事業場外みなし労働時間制の適用を受ける場合でないことは明らかである。
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