医療機器の輸入を検討する際、まず製品が薬機法に基づく「医療機器」に該当するかを正確に判断することが重要です。
この判断を誤ると、規制違反として厳しい行政指導や罰則を受ける可能性があります。
本記事では、医療機器への該当性を判断する際の具体的な注意点を、実例を交えて解説します。
このページの目次
1 使用目的の確認
製品が医療機器に該当するか否かは、使用目的が重要な判断基準となります。
薬機法では、「疾病の診断、治療、予防」または「身体の構造や機能に影響を及ぼすことを目的とする製品」が医療機器として扱われます。
例えば、スポーツジムで使用するある機器を輸入する場合、単なるリラクゼーション目的であれば医療機器に該当しない可能性があります。
しかし、「腰痛の治療」や「血行促進」などの治療効果を明示した場合は、医療機器と見なされる可能性が高いです。このため、製品カタログや説明書に記載されている使用目的を慎重に確認する必要があります。
2 類似製品の規制状況を調査
同じ機能を持つ製品が国内で医療機器として扱われている場合、該当製品も医療機器に該当する可能性が高まります。
例えば、「スマートウォッチ」のようなウェアラブルデバイスで、心拍数や血圧を測定する機能を備えた製品が医療機器に該当するケースがあります。
同様の機能を持つ製品が国内で医療機器として登録されている場合、その製品も同様に扱われる可能性があるため、類似製品の薬機法上の位置づけを調査することが重要です。
3 効能効果の表示内容について
輸入時の広告やパッケージデザインに記載される効能効果の内容が、医療機器に該当するかどうかの判断に影響を与えます。
特に、「治療」「予防」といった医療行為を連想させる表現は慎重に扱う必要があります。
例えば、特定の症状に効果があるとされる「空気清浄機」を輸入する場合、「アレルギー症状を軽減する」といった表現は医療機器に該当する可能性を高めます。一方、「空気をきれいに保つ」といった表現であれば、医療機器としての該当性は低くなることがあります。この違いに留意し、広告やラベルに使用される文言を慎重に選定しましょう。
4 事前の調査、検討が非常に重要です
医療機器への該当性判断は、薬機法の専門知識を必要とし、ケースによっては複雑な判断を求められます。
不明点がある場合は専門家に相談し、厚生労働省等の行政機関への問合せを含む適切な指導を受けることでリスクを最小限に抑えることが可能です。輸入を検討する際には、慎重な調査と準備を行うことを強くお勧めします。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。