海外の魅力的な製品を国内で販売しようとする際、関税などの税関手続き以上に大きな障壁となるのが、厚生労働省(検疫所)による厳しい審査です。
以下に、特に注意すべき大きな「壁」と、その対策について詳説します。
このページの目次
1 「食品衛生法」が立ちはだかる成分規制の壁
販売または営業上使用する目的で食品や食器、乳幼児向け玩具を輸入する場合、検疫所へ「食品等輸入届出書」を提出し、審査を受けなければなりません。ここで最大のハードルとなるのが、日本独自の添加物規制や残留農薬基準です。
①指定外添加物のリスク: 海外では一般的に使用されている着色料や保存料であっても、日本で認可されていない「指定外添加物」が含まれている場合、その製品は一点たりとも国内に持ち込むことはできません。
②規格基準の厳格さ: 基準値を超える農薬、カビ毒、あるいは器具の材質から溶け出す有害物質(重金属など)が検出されれば、検疫所から「全量廃棄」または「積み戻し(返送)」の厳しい命令が下されます。
輸入に際しては、製造工程表の確認や、登録検査機関による「試験成績書」の提出を求められることが一般的です。事前の成分分析や法令照合が不十分なまま貨物を日本に到着させてしまうと、商品代金の没収に等しい損失に加え、高額な廃棄費用や保管料が発生し、事業継続を揺るがす大赤字を招くことになります。
2 「薬機法」によるライセンスと定義の壁
化粧品やサプリメント、健康器具の輸入販売において、食品衛生法以上に複雑で厳しいのが「薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)」です。
①業許可の必須性: 化粧品や医療機器を輸入販売するには、単なる「輸入業」ではなく、「化粧品製造販売業」や「医療機器製造販売業」といった特定のライセンス(業許可)を保持している必要があります。無許可での輸入は明白な法令違反です。
②「みなし」規制の落とし穴: 最も頻発するトラブルは、事業者が「ただの雑貨」だと判断した製品が、法的には「医療機器」や「医薬品」に該当してしまうケースです。例えば、単なるマッサージ器であっても「血行を促進する」といった効能を謳えば医療機器とみなされます。また、サプリメントにおいても、含有成分やその形状、広告表現一つで「未承認医薬品」と判定され、税関で差し止められる事例が頻発しています。
これらは意図せぬ違反であっても容赦なく取り締まりの対象となり、通関不能によるビジネスの頓挫を招きます。
3 リスク管理の徹底と弁護士が果たす役割
これらの法令に抵触した場合の代償は、金銭的な損失に留まりません。
行政処分による「製品回収(リコール)」の公表、最悪の場合は刑事罰としての逮捕、そしてそれらに伴う実名報道は、企業の信頼を一瞬で失墜させます。SNSが普及した現代において、一度ついた「不適切輸入」のレッテルを拭い去ることは極めて困難です。
当事務所では、輸入ビジネスを志す事業者様に対し、以下のリーガルサポートを提供しております。
①事前適合性チェック(リーガルチェック)
輸入予定の商品が、日本の食品衛生法や薬機法の規格に適合しているか、成分表や現地の資料を基に精査します。
②広告・表示の監修
パッケージの表示や販促物の表現が、薬機法や景品表示法に抵触しないよう、代替案を含めてアドバイスいたします。
③行政対応・トラブル解決
万が一、検疫所や自治体から行政指導を受けた際の窓口となり、適切な釈明や事後対応をサポートします。
専門的な法的知見に基づき、貴社の健全な事業展開を強力にバックアップいたします。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。

