輸入貨物の課税価格については、原則として現実支払価格をベースとして算定することは、別のコラムでもご紹介しておりますが、このような原則的な方法を利用できない場合ももちろんあります。
そのような場合に、どのような算定方法を採用する必要があるかは、関税定率法等で規定されているところですが、本日は、例外的な採用方法のうち、製造原価に基づく課税価格の決定方法をご紹介いたします。
1 製造原価に基づく課税価格の決定方法について
関税定率法第4条の3第1項までの方法により課税価格を決定することができない場合には、製造原価に基づく課税価格の決定方法により、輸入貨物の課税価格を算定することを試みることになります。
この場合、国内販売価格に基づく方法が製造原価に基づく方法に優先して適用されることが原則となっていますが、当該輸入貨物を輸入しようとする者が希望する旨を税関長に申し出たときは、この優先順位を逆転することができます。
「製造原価に基づく課税価格の決定方法」とは当該輸入貨物の製造原価を確認できる場合において、当該輸入貨物の製造原価に、当該輸入貨物の生産国で生産された当該輸入貨物と同類の貨物の本邦への輸出のための販売に係る通常の利潤及び一般経費と輸入港までの運賃等を加算して課税価格を決定する方法です。
ここでの「製造原価」には、輸入貨物の容器及び包装費用並びに関税定率法第4条第1項第3号に規定する物品及び役務の費用を含むこととなっており、本邦で開発された技術、設計、意匠又は工芸に要する費用であっても、生産者がこれを負担した場合には、当該負担した額を含むこととなります。なお、「製造原価」は、当該輸入貨物の生産者により又は当該生産者のために提供された当該輸入貨物の生産者の商業帳簿に基づくこととなります。
また、「同類の貨物」は、輸入貨物の場合と同一の国から輸入されたものに限ります。
以上を踏まえて、製造原価に基づく課税価格の決定方法を簡単に整理すると、以下のようになります。
【製造原価に基づく課税価格の計算式】
課税価格=①+②+③
①輸入貨物の製造原価
②生産国を同じくする同類の輸入貨物の本邦への輸出のための販売に係る通常の利潤及び一般経費
③当該輸入貨物の輸入港までの運賃等
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