労働組合法上の労働者性の判断基準

労働基準法上の労働者に該当するかどうかについては、使用者の指揮命令下で業務に従事しているといえるかどうか、という基準に基づき判断されることになる点は、これまで本コラムで何度かご紹介してまいりました。
これに対して、労働組合法上の労働者に該当するかどうかについては、上記労働基準法上の労働者性の判断基準とは異なる枠組みが用いられる点には注意が必要です。
本日は、労働組合法上の労働者性の判断基準について、ご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 労働組合法上の労働者性の判断基準

労働組合法上の「労働者」は、同法3条において規定されております。
そして、「労使関係法研究会報告書(労働組合法上の労働者性の判断基準について)」(平成23年7月)が公表されており、これによれば、「労働者」の判断基準については、以下の要素を踏まえて判断されることとなります。

【基本的判断要素】
①事業組織への組み入れ、②契約内容の一方的・定型的決定、③報酬の労務対価性

【補充的判断要素】
④業務の依頼に応ずべき関係、⑤広い意味での指揮監督下の労務提供、一定の時間的場所的拘束

【消極的判断要素】
⑥顕著な事業者性

実際に、労働組合法上の労働者性を判示した近時の裁判例としては、新国立劇場運営財団事件(最判平成23・4・12労判1026・6)、及びINAXメンテナンス事件(最判平成23・4・12)等があります。これらの裁判例において特に重視されている要素としては、上記の各要素とほぼ同じ内容です。

 

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