国籍と特定類型の関係性

外為法上、貨物を輸出する場合には、リスト規制、キャッチオール規制といった規制の該当性を判断しなければならないことは、貨物の輸出を業として行っている法人や個人事業主の方に広く知られていることと思います。

また、大学や各種研究機関においては、共同研究や留学生の受け入れ等、外為法の規制該当性に関して非常に微妙な判断をする必要がある場面も多くあります。

本日は取扱いを間違いやすい(勘違いしやすい)事例をご紹介いたします。

 

1 事例

日本国籍を有する研究者Aは、海外の政府と契約を締結し、日本の先端技術の資料入手を試みることになった。研究者Aは、海外での技術発展のために必要であるという海外の政府の説明を信用し、また研究費を捻出してくれるという誘いに応じてしまっている。Aとしては、自分は日本国籍を有するものであるから、近年日本の外為法上規制対象となっている特定類型には該当しないと判断している。このような判断は適切かどうか。

 

2 正しい対応

外為法上の特定類型の該当性については、国籍がどこにあるのかは判断基準ではなく、居住者であるのか、非居住者であるのかが判断基準となります。

例えば、外為法上は、日本国籍を有するものでも、海外に2年以上滞在している場合には非居住者に該当します。他方で、外国国籍の者でも、日本に入国後6ヶ月経過している場合には、居住者に該当します。そのため、上記の事例では、研究者Aの国籍は問題の中心ではなく、どこの国にどの程度滞在しているかによって取扱いが異なることになります。

 

3 外為法の規制には十分ご注意ください

貨物を輸出する場合(及び技術を国際間で移転、提供する場合)には、外為法上の厳格な規制が存在します。

日本国内で購入したものであるから、海外に輸出しても問題ないと安易に考えることは非常に危険であり、日本国内で一般に販売されている物品であっても、海外に輸出する際には規制対象となる品目は多数存在します。

日用品として用いる小さな機械製品であっても大量破壊兵器や一般兵器に転用することが可能な場合は多数存在します。

法違反については知らなかったでは済まされず、存在する各法規制に違反した場合には重大な犯罪行為(ひいては国際的な平和を損なう行為にもなりかねないことはくれぐれも気を付けるべきです。)となってしまい、違反した場合には重い刑事罰等も存在しますので、貨物を輸出する場合(及び技術を国際間で移転、提供する場合)において、外為法の規制内容に少しでも不安がある場合には、事前にご相談いただくことを強くお勧めいたします。

 

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