輸入・輸出を業として行われている方は、犯則調査という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
知り合いの会社が、税関から犯則調査を実施され大変な事態となっていた等の話を聞いた経験がある方も相当程度いらっしゃるものと思われます。
犯則調査が行われた場合には、告発され刑事事件化されるケースとそこまではいたらず通告処分で終わるケースがあります。
本日は犯則調査の概要についてご紹介いたします。
1 犯則調査による処分
税関のHPにおいて公表された資料を整理した結果となりますが、犯則調査の実施状況は次のとおりです。
①平成29事務年度の処分件数は、841件、その内告発された件数は33件、通告処分となった件数は808件
②平成30事務年度の処分件数は、536件、その内告発された件数は12件、通告処分となった件数は524件
③令和元事務年度の処分件数は、271件、その内告発された件数は9件、通告処分となった件数は262件
④令和2事務年度の処分件数は、36件、その内告発された件数は4件、通告処分となった件数は32件
⑤令和3事務年度の処分件数は、39件、その内告発された件数は2件、通告処分となった件数は37件
犯則調査による処分件数は減少しているように見えますが、あくまでもコロナ禍において海外との往来が制限されていたことから処分件数が減少したにすぎず一過性の傾向となります。
今後は従来の件数程度まで件数自体が戻るものと考えられます。
2 犯則調査の対象となった場合
犯則調査の対象となった場合には、通告処分で終わりどうせ刑事事件にはならないから大丈夫だろうと高を括ってしまう方もいらっしゃいます。
しかしながら、上記のとおり、犯則調査の結果、告発がなされ、刑事事件化される場合もありますので、犯則調査は刑事事件の前段階であるという意識を強く持ち慎重に対応することが必須です。
また、税関に対して虚偽の事実を伝えて何とか処分を軽くしようとする方もおりますが、このような対応は絶対に行ってはいけないことはくれぐれも留意していただく必要があります。
加えて、最近の件数を踏まえて、犯則調査によって処分が行われた事件の内告発されたケースが少ないからと言って刑事事件化されないだろうと安易に考えることも絶対に避けた方が良いと言えます。
まずは、冷静に落ち着いて状況を確認し、その後の流れを確認する意味でも、万一犯則調査の対象となってしまった場合には、速やかに弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。
当事務所は、輸出入や貿易関連のトラブル、税関事後調査をはじめとする税関対応等を幅広く取り扱っておりますので、犯則調査の対象となった場合には、まずはご相談ください。