輸入貨物の輸入申告価格について、「売買代金とすれば問題ない」、と誤解されている方が多くいらっしゃいます。
そこで、本日は、輸入貨物の輸入申告価格(課税価格)の考え方の概要をご紹介いたします。
このページの目次
1 輸入貨物の課税価格の考え方
輸入貨物の課税価格は、当該貨物の「現実支払価格」に、その含まれていない限度において、運賃等の「加算要素」の額を加えた価格によることを原則として規定されています(関税定率法第4条第1項等)。
この「加算要素」は、関税定率法第4条第1項の第1号から第5号までにおいて限定列挙されています。これらの要素の現実支払価格への加算は、客観的で、かつ、数値化された資料に基づいてのみ行われます。
2 具体的な「加算要素」について
具体的な加算要素は、以下の①から⑦のとおりです。
①輸入港までの運賃等(関税定率法第4条第1項第1号)
輸入貨物が輸入港に到着するまでの運送に要する運賃、保険料その他当該運送に関連する費用を指します。
②仲介料その他の手数料(関税定率法第4条第1項第2号イ)
買付けに関し当該買手を代理する者に対し、当該買付にかかる業務の対価として支払われるものを除きます。
③容器の費用(関税定率法第4条第1項第2号ロ)
「容器」とは、関税定率法別表に規定する関税率表の解釈に関する通則5により「当該物品に含まれる」ものとされるケースその他これに類する容器及び包装容器をいいます。
④包装に要する費用(関税定率法第4条第1項第2号ハ)
輸入貨物の包装及び梱包に要する材料費の他、包装及び梱包に要する人件費その他の関連する費用を指します。
⑤買手が無償で又は値引きをして提供した物品又は役務の費用(関税定率法第4条第1項第3号)
輸入貨物の生産又は輸入取引に関連して、買手により無償で又は値引きをして直接又は間接に提供された物品又は役務の内、同号で規定されているものを指します。
⑥特許権等の使用に伴う対価(関税定率法第4条第1項第4号)
⑦売手帰属収益(関税定率法第4条第1項第5号)
買手による輸入貨物の再販売その他の処分又は使用により得られる売上代金、賃貸料、加工賃等の収益が売手に帰属する場合、当該売手に帰属する収益の額は輸入貨物の課税価格に加算されます。
3 弁護士へのご相談をご希望の方へ
輸入貨物の課税価格の考え方は技巧的な面が強く、なかなか正確に理解することが難しいといえますので、専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。
当事務所は、輸入に関するトラブルや輸入手続き、税関対応等、輸出入に関する問題について幅広くご相談をお受けしておりますので、輸入貨物の課税価格に関してご不明な点等ございましたら、ご遠慮なくご相談ください。