貨物を輸入する際に、原産地を貨物上に記載、掲載している場合も多いと思います。
原産地表示は、原産地規則に基づいて行う必要があり、また、日本国内で商品を販売する場合も、正確な原産地を記載しないと景品表示法等で問題となるリスクがありますので、正確に記載する必要があります。
貨物の原産地を決定するための基準の概要は、以下の通りですので、ご参考となれば幸いです。
このページの目次
1 完全生産品基準
貨物が完全に特定の国で生産された場合、この基準が適用されます。
例えば、農産物や鉱物など、その国で完全に採取・生産されたものが該当します。
2 実質的変更基準
貨物がある国で加工・製造され、その結果、製品の性質や用途が大きく変わった場合に適用されます。この基準には具体的には以下の方法があります。
①HSコード変更基準
貨物の関税分類(HSコード)が製造過程で変更された場合です。
例えば、生地(HSコード:5208)が特定の国で縫製されてシャツ(HSコード:6105)になった場合、加工により商品分類(HSコード)が変わるため、実質的変更が行われたと判断されます。この基準は、単純な梱包や組み立てなどでは適用されず、製品の性質や用途が明確に異なることが求められます。
②付加価値基準
加工後の貨物における特定国での付加価値の割合が一定以上の場合です。
たとえば、自動車部品の輸入材料がある国で組み立てられ、完成車として輸出される場合です。この際、完成品に占める原材料費や輸入部品の割合を差し引いた「現地での加工付加価値」が40%以上であれば、実質的変更と見なされます。
③ 製造工程基準
特定の製造工程が行われた場合に適用
例えば、未加工のカカオ豆がある国でローストされ、チョコレートに加工される場合、特定の製造工程(焙煎や成形など)が行われたことにより、商品が別のものとみなされます。
この基準では、工程の重要性や不可逆性が重視されます。
3 原産地の表示にはご注意ください
国際貿易において『原産地規則』は非常に重要な役割を果たします。
また、日本国内で商品を販売する場合も、景品表示法等の関係で原産地表示は正確に行う必要があります。
『原産地規則』は、ある製品がどの国で「生産された」とみなされるかを決定する基準を指し、輸入ビジネスを行う上で、このルールを正しく理解することは、関税や通関の手続き、また日本国内での商品の販売のいずれにおいても不可欠です。
少しでも不安な点がある場合には、まずは専門家にお問合せいただくことをお勧めいたします。