外為法上、貨物を輸出する場合には、リスト規制、キャッチオール規制といった規制の該当性を判断しなければならないことは、貨物の輸出を業として行っている法人や個人事業主の方に広く知られていることと思います。
また、大学や各種研究機関においては、共同研究や留学生の受け入れ等、外為法の規制該当性に関して非常に微妙な判断をする必要がある場面も多くあります。
本日は取扱いを間違いやすい(勘違いしやすい)事例をご紹介いたします。
このページの目次
1 事例
日本のメーカーAは、B国大使館のC書記官から、リスト規制に該当する技術の提供を打診された。今度B国で行う商業見本市にA社を出展させるかどうかを判断するために必要なサンプルとしての技術であるとの説明を受けた。Cは来日から既に3年経過していることから、A社としては、Cが既に居住者に該当し、当該技術を提供して問題ないと考えている。
2 正しい対応
A社の考えは間違っており、Cに対して技術を提供する場合には役務取引許可を取得する必要があります。
一般的には外国国籍保有者が日本に滞在して6ヶ月が経過すると居住者として取り扱うことになりますが、外国大使館員の場合には、特別な取り扱いがなされており、6ヶ月が経過したとしても非居住者のままですので注意が必要です。
3 外為法の規制には十分ご注意ください
貨物を輸出する場合(及び技術を国際間で移転、提供する場合)には、外為法上の厳格な規制が存在します。
日本国内で購入したものであるから、海外に輸出しても問題ないと安易に考えることは非常に危険であり、日本国内で一般に販売されている物品であっても、海外に輸出する際には規制対象となる品目は多数存在します。
日用品として用いる小さな機械製品であっても大量破壊兵器や一般兵器に転用することが可能な場合は多数存在します。
また、外為法上の許可を取得することが煩雑であることから、安易に特例の適用があると判断することは非常にリスクの高い行為であるといわざるを得ません。
知らなかったでは済まされず、重大な犯罪行為(ひいては国際的な平和を損なう行為にもなりかねないことはくれぐれも気を付けるべきです。)となってしまい、違反した場合には重い刑事罰等も存在しますので、貨物を輸出する場合(及び技術を国際間で移転、提供する場合)において、外為法の規制内容に少しでも不安がある場合には、事前にご相談いただくことを強くお勧めいたします。