電気用品安全法と輸入ビジネス。EC事業者が陥りやすい「届出漏れ」と「検査義務」違反

中国などの海外工場から、安価でデザイン性に優れた家電製品やモバイルバッテリー、ACアダプター等を輸入し、Amazonや楽天といったECプラットフォームで販売するビジネスが活況を呈しています。しかし、近年、Amazon等のプラットフォーム側もコンプライアンス監視を劇的に強化しており、適切な表示や書類が揃わない商品は即座に出品停止、さらにはアカウント閉鎖に追い込まれるケースが後を絶ちません。

 

1 「輸入者=国内製造者」という重い法的責任

まず認識すべきは、日本の法律における輸入者の立ち位置です。

海外メーカーから製品を仕入れて国内で販売する者は、単なる「小売店」ではなく「製造事業者等」とみなされます。

つまり、設計上の欠陥や製造ミスによる事故が発生した場合、たとえ海外メーカー側に原因があったとしても、日本国内では輸入者がメーカーと同等の全責任を負わなければなりません。

「海外の工場が安全だと言っているから大丈夫」という理屈は法的に一切通用しません。輸入者自らが日本の技術基準(JIS規格等)に照らし合わせ、その安全性を主体的に担保する義務があるのです。

 

2 輸入者が履行すべき「4つの義務」

PSEマークを貼付して製品を販売するためには、輸入者は以下の4つの義務を完遂しなければなりません。

①事業届出の義務

輸入開始から30日以内に、経済産業省(各経済産業局)へ事業届出を行う必要があります。

②基準適合確認の義務

製品が日本の「技術基準」に適合していることを確認します。工場から提出された試験結果(テストレポート)が日本の規格を網羅しているか精査する必要があります。

③自主検査の義務

これが最も見落とされやすい点ですが、輸入者はロット(輸入)ごとに検査を行い、その記録を3年間保存しなければなりません。外観検査だけでなく、絶縁耐力試験(通電テスト)などが必要になる場合もあります。

④表示の義務

製品の目につきやすい場所に、PSEマーク、届出事業者名、定格電圧等を正しく表示します。

 

特に、ACアダプターなどの「特定電気用品(ひし形PSE)」に該当する場合、登録検査機関による「適合性検査証明書」の取得が必須となり、ハードルはさらに高まります。

 

3 違反が招く「倒産リスク」とペナルティ

手続きの不備や事故が発覚した場合、経済産業省から「販売停止命令」や「回収命令(リコール)」が下されます。回収費用、廃棄費用、顧客への返金対応は、中小企業にとって致命的なキャッシュアウトを招きます。また、違反が悪質な場合は、法人に対して「1億円以下の罰金」という重い刑事罰も規定されています。

さらに、製品事故で消費者が負傷した場合、製造物責任法(PL法)に基づき、多額の損害賠償を請求されるリスクも忘れてはなりません。モバイルバッテリー等のリチウムイオン電池による火災事故は年々増加しており、ひとたび火災が発生すれば、賠償額は数千万円から億単位にのぼることもあります。

 

「知らなかった」という過失が、せっかく築き上げた会社を倒産させる引き金になりかねません。

家電輸入ビジネスへの参入や新製品の取り扱いを検討される際は、必ず事前に専門家へご相談ください。正しい法令遵守こそが、あなたのビジネスを守る唯一の手段です。

 

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