会社が従業員に対して行う懲戒処分としては、減給や懲戒解雇が有名です。
もっとも、懲戒処分の具体的な分類としては、分類方法にもよりますが、以下の7種類に分類することができます。
以下では、各類型の概要をご紹介いたしますので、懲戒処分を検討いただく際の参考となれば幸いです。
このページの目次
1 戒告
従業員に対して口頭で注意をすることを指します。
もっとも、懲戒処分としてではなく、事実上の注意として行われることも多くあります。
2 けん責
従業員に対して、書面((経緯)報告書、始末書、顛末書等)を提出させて、反省を促すことを指します。
3 減給
従業員に対して、本来の給与の一部を差引いて支給することを指します。
ただし、減給の割合は労働基準法で規定されておりますので、注意が必要です。具体的には、労働基準法91条で、「一回の額は平均賃金の一日の半額分を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない」と規定されております。
4 出勤停止
従業員に対して、一定期間の出勤を禁止することを指します。
5 降格
従業員に対して、役職、職能資格等を引き下げることを指します。
6 諭旨解雇
会社が従業員を一方的に解雇するのではなく、会社と従業員の両者が話し合い、従業員が納得した上で解雇処分を進めることを指します。
7 懲戒解雇
懲戒処分としては最も重い処分になりますが、会社が従業員を一方的に解雇することを指します。
ただし、懲戒解雇については、労働基準法19条において「使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第八十一条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。」と規定している他、労働基準法20条では、「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。」と規定している等、一定の制限がありますので、注意する必要があります。
以上、懲戒処分の各類型についてご紹介いたしました。
懲戒処分の実施は会社が自由にできるわけではなく、恣意的な懲戒処分や、従業員の行為に対して過大な懲戒処分等を実施する場合、当該懲戒処分は無効となり、反対に、従業員から会社に対して損害賠償請求等を行われることにもつながるリスクがあります。
そのため、会社が従業員に対して懲戒処分を実施する場合には、慎重に検討する必要があるものといえます。
当事務所では、労働問題・トラブルの予防策から、実際に生じた問題・トラブルへの対応まで、幅広く取り扱っておりますので、従業員に対する懲戒処分に関して、不安や悩みがある方、お困りのことがある方は、お気軽にご相談ください。