Archive for the ‘コラム~通関手続、輸出入トラブル~’ Category
通関業者の役割
貨物の輸出入の経験がある方にとっては、通関業者は馴染みのある存在といえるのではないでしょうか。
もっとも、通関業者が実際にどのような業務をになっているかまではご存知ではなく、輸出入申告を代理で行ってくれる存在という程度の認識にとどまっている場合が多いものと思われます。
そこで、本日は、通関業者の業務内容についてご紹介いたします。
通関業務の内容は、以下のとおり、大要、「通関業務」と「関連業務」に大別されます。
1 通関業務について
①通関手続きの代理
輸出申告書や輸入申告書の税関への提出から輸出許可、輸入許可を受けるまでの一切の手続のことを指します。
②不服申立の代理
不服申立とは、税関が決定した内容に不満がある場合に再考を求める手続のことを指します。
税関長に再考を求めるのが「異議申立」、税関長の最終判断に不満があるときは上位者である財務大臣に「審査請求」を行うことになります。
③主張、陳述の代行
税関は、輸出入者が提出した輸出申告者や輸入申告者の記載事項の審査と貨物検査を実施します(税関の判断で省略をする場合がある)。
通関業者は必要に応じて審査や貨物検査に立ち会い、提出した申告書の内容が正当であることを主張、陳述し証明します。
④通関書類の作成
上記の代理、代行に要する書類を作成します。
2 関連業務について
通関業務に先行する、または後続する全ての業務を指します。
例えば、梱包、国内輸送、保税運送、他所蔵置許可申請、外国貨物の見本の一時持出し許可申請、本船扱い、ふ中扱いの承認申請、事前教示照会等です。
なお、通関業務とは、通関業者のみが行うことができる業務であり、通関業者の独占業務です。
他方で、関連業務とは、通関業者の独占業務から除外され、通関業者以外も行うことができる業務の総称を指します。
3 弁護士へのご相談をご希望の方へ
輸出入に必要な手続はすべて通関業者に任せているケースも多いものと思われます。
もっとも、何かトラブルが発生した場合には、通関業者では対応できず自社で対応する必要がありますが、なかなか輸出入や通関手続に関する知識・経験不足から適切な対応を行うことが難しい場合も多いものと思われます。
当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出入や通関上のトラブルでお悩みの方や、ご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。
信用状について
輸入取引において、信用状を利用したことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
信用状は貿易において非常に重要な役割を担っておりますが、信用状の種類が複数あることまではあまり知らないという方も多いように思います。
そこで、本日は、信用状の代表的な類型をご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。
信用状には、以下の各類型があり、輸出者と輸入者の合意により使用する類型を選択することになるのが一般的です。
1 取消不能信用状(Irrevocable L/C)
発行後、当事者全員の合意がない限り取消しや内容の変更を認めない信用状のことを指します。
ここで当事者とは、輸出者、輸入者、発行銀行のことをいいます。
2 確認信用状(Confirmed L/C)
発行銀行に加え、他の銀行が支払いを保証する信用状のことを指します。
発行銀行の信用力が乏しい場合に使用することが多い類型です。
3 買取銀行指定信用状(Restricted L/C)
為替手形の買取りを特定の銀行に限定した信用状のことを指します。
買取銀行を特定しない信用状はOpen L/Cと呼ばれております。
4 回転信用状(Revolving L/C)
連続して貿易取引を行う輸出者と輸入者が使用する信用状のことを指します。
前回の貿易取引の決済が終了した時点、あるいは、前回の貿易取引から一定期間の経過後に信用状の保証する金額が自動的に復活することになります。
5 譲渡可能信用状(Transferable L/C)
信用状に記載された貿易取引の全て、あるいは、一部を輸出者以外に譲渡することを認めた信用状のことを指します。
6 弁護士へのご相談をご希望の方へ
輸出入は、慣れていない方はもちろん慣れている方にとっても予想外のトラブルが起きやすいものといえます。
当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関手続に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出入や通関に関するトラブルや、税関対応に関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出入や通関上のトラブルでお困りの方や、税関対応に自信がない方等、輸出入や通関上のトラブルでお悩みの方、ご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。
貨物の輸出規制について
日本から貨物を輸出する場合、輸出先の国の法令でその国への輸入規制があるかどうかを確認することにとどめ、そもそも日本からの輸出が認められるかどうか、という視点を忘れてしまっているケースがあります。
そもそも、日本からの輸出に関して規制がある貨物には様々な種類がありますので、貨物の輸出を検討されている場合には、まず、日本からの輸出が認められているかどうかを最初に確認することが重要といえます。
以下では、貨物を日本から輸出する場合の規制に関してご紹介いたします。
1 外国為替及び外国貿易法(以下、「外為法」といいます。)の輸出貿易管理令と外国為替令による管理
外為法の輸出貿易管理令では、輸出に際し許可あるいは承認を必要とする品目を規定しており、別表1と別表2としてリストアップしております。
別表1は大量破壊兵器や通常塀の輸出を規制する内容で、輸出に際しては経済サンゴ右大臣の許可を取得する必要があります。
他方で、別表2では、ワシントン条約やバーゼル条約など国際的に管理されている品目や日本の産業保護を目的とした品目などが規定されており、輸出に際しては経済産業大臣の承認を取得する必要があります。
2 その他の輸出入関連法による管理
外為法以外を除くその他の輸出入関連法の代表的な法令及び該当する品目としては、代表的なものとしては、以下の法令及び対象物があります。
①文化財保護法
重要文化財又は重要美術品
②鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律
鳥、獣及びそれらの加工品
③麻薬及び向精神薬取締役法
麻薬、向精神薬
④狂犬病予防法
犬、猫、あらいぐま、きつね
⑤家畜伝染病予防法
馬、鶏、あひるなど及びこれらの動物の肉、ソーセージ、ハム等
⑥植物防疫法
一定の植物
⑦道路運送車両法
中古自動車
3 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が、輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出入や通関に関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出入や通関に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。
輸入貨物の国内販売を規制する法令について
当然のことながら、貨物を輸入する主たる目的は、日本国内において、輸入した貨物を販売することや使用することにあります。
もっとも、貨物の内容によっては、日本国内での販売や使用をすることが出来ない場合や一定の規制がある場合もありますので、事前にこのような日本国内の法令も十分に理解することが必須となります。
そこで、本日は、輸入される頻度が多い貨物について、カバーしておいた方が良いと思われる日本の法令と該当する可能性がある代表的な貨物を簡単にご紹介いたします。ご参照いただけますと幸いです。
1 関係法令について
①家庭用品品質表示法
繊維製品、合成樹脂加工品、雑貨工業品、電気機械器具、家庭用電気器具
②電気用品安全法
家庭用電熱器具、事務用機器、電気楽器、電灯器具、電子時計、電気機器付家具、電線・配線器具、小型変圧器、電流制限器
③消費生活用製品安全法
圧力なべ、乗車用ヘルメット、乳幼児用ベッド、レーザーポインター、浴槽用温水循環器、登山用ローブ、家庭用の圧力なべなど
④ガス事業法
ガス瞬間湯沸かし器、ガスストーブ、ガスバーナー付ふろ釜、ガスふろバーナー
⑤液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律
液化石油ガス用瞬間湯沸かし器、液化石油ガスこんろ、ガス漏れ警報器
⑥計量法
計量器
⑦道路運送車両法
自動車
⑧農薬取締法
農薬(消毒剤、断菌剤、殺虫剤、殺鼠剤、除草剤、成長促進剤)
⑨製造物責任法
製造物一般
⑩不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)
商品一般
⑪工業標準化法(JIS法)
工業製品
⑫農林物質の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)
JAS規格、食品
⑬有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律
水銀加工物など有害物質を含む家庭用品
⑭船舶安全法
ヨット、モーターボート等
⑮電波法
携帯電話などの無線設備など
⑯電気通信事業法
電話機、ファックスなどの通信機器
⑰消防法
カーテンなど防災対象物品、消防設備、危険物
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が、輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出入や通関に関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出入や通関に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。
関税法上の犯罪に関する規定について
本日は、関税法で規定されている犯罪に関する規定の内、輸出入をしてはならない貨物を輸出入する等の罪についてご紹介いたします。
輸出入をビジネスとして行っている方にとっては、行ってはいけない行為を正確に把握してかなければ、意図せず犯罪行為を行ってしまっているということにもなりかねませんので、ご参照いただけますと幸いです。
1 輸出してはならない貨物を輸出する罪
①関税法69条の2第1項第1号に掲げる輸出してはならない貨物(麻薬等)を輸出し又は積戻しをした者は、10年以下の懲役又は3000万円以下の罰金に処せられます(これらの刑が併科されます。このことは、108条の4から112条までの罪についても同様です。)。(関税法108条の4第1項)
②関税法69条の2第1項第2号から第4号までに掲げる輸出をしてはならない貨物(児童ポルノ及び知的財産侵害物品)を輸出し又は積戻しをした者は、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金に処せられます(関税法108条の4第2項)。
2 輸入してはならない貨物を輸入する罪
①関税法69条の11第1項第1号から第6号までに掲げる輸入してはならない貨物(麻薬等)を輸入した者は、10年以下の懲役又は3000万円以下の罰金に処せられます(関税保法109条1項)。
②関税法69条の11第1項第7号から第10号までに掲げる輸入してはならない貨物(公安又は風俗を害すべき物品、児童ポルノ及び知的財産侵害物品)を輸入した者は、10年以下の懲役又は1000万円いかの罰金に処せられます(関税法109条2項)。
3 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
弁護士に相談をした方がよいかお悩みの方もいらっしゃるものと思いますが、お悩みをご相談いただくことで、お悩み解消の一助となることもできます。
輸出・輸入や通関に関するトラブル、税関事後調査を含む税関対応等でお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。
保税地域について
貨物の輸入・輸出をビジネスとして行っている方の中には、貨物の保管場所として保税地域を利用したことがある方も多いのではないでしょうか。
保税地域とは輸入通関、輸出通関においてはよく出てくる言葉であり、非常に重要な存在といえますので、改めてその概要をご紹介いたします。
1 保税地域の概要
保税地域とは、外国貨物を置くことのできる場所として設置されている場所のことを指します。
輸出入の通関手続きや、船舶・航空機への積み込みを即座に行うことが出来ない場合に、保税地域が利用されることが多いといえます。
なお、「外国貨物」には、大要以下の2種類があります。
(i)外国から到着した貨物で、未だ輸入の許可や関税の納付がなされていない貨物
(ii)外国に送り出そうとする貨物で、輸出の許可がなされた船舶や航空機への積込みを控えている貨物
2 保税地域の種類と機能
保税地域には、次の5種類があります(関税法29条)。
①の指定保税地域は、輸出入通関のために設けられているものです。他方で、②から⑤は特定の目的のために設けられている保税地域である点に特徴があります。
①指定保税地域(関税法37条から41条の3)
港又は空港にある国、地方公共団体などが所有又は管理する土地、建設物等で財務大臣が保税地域として指定した場所のことを指します。
②保税蔵置場(関税法42条から55条)
保税蔵置場は、①の指定保税地域と同様の行為ができるものとして税関長が許可した場所で、外国貨物を保税の状態で原則として3カ月間、税関長の承認を受けることで2年間まで蔵置することが出来ます。
③保税工場(関税法56条から62条)
保税工場は、外国貨物の加工、それを原料とする製造・混合、改装、仕分けその他の手入れをすることができるものとして税関長が許可した場所のことを指します。
④保税展示場(関税法62条の2から62条の7)
保税展示場は、国際博覧会や見本市などのために、関税や消費税を留保したまま外国貨物の積卸・運搬、蔵置、内容点検、改装、仕分けその他の手入れ、展示又は使用等ができる場所です。
⑤総合保税地域(関税法62条の8から62条の15)
総合保税地域は上記②から④の保税機能の他様々な機能を併せ持った保税地域です。
3 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が、輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出入トラブルや通関トラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出入トラブルや通関トラブルでお悩みの方や、ご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。
国際取引で発生するトラブルの解決方法について
国際取引の中でトラブルが発生した場合の解決方法として代表的なものとしては、以下の制度があります。
以下、概要をご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。
1 和解
取引の当事者同士で話し合いを行い、トラブルを解決する方法です。
2 調停
調停とは、第三者を交えた和解とイメージいただければよいものと思われます。
すなわち、調停においては、紛争当事者間による調停付託の合意に基づいて、当事者が選んだ調停人が双方の主張を聞き、提出された関係書類を調べた上で調停案が提示されます。
ただし、調停が合意され、調停案が出されても法的強制力(拘束力)はありませんので、当事者がその調停案に不服であれば調停を受け入れる義務はなく、拒否することが出来ます。
そのため、調停では最終的な解決に至らない場合も多くあります。
日本における調停機関としては、日本商事仲裁協会があります。
この機関は、以下3の仲裁を主として執り行っておりますが、調停についても執り行っております。
3 仲裁
仲裁は、紛争当事者の仲裁付託合意に基づいて行われるもので、当事者により選任された仲裁人が仲裁判断を下すことになります。
調停とは異なり、両当事者は仲裁判断を受け入れる法的義務があります。
仲裁付託条項とは、当事者によって合意された仲裁条項又は仲裁契約のことを指します。
これらがある場合には、当事者に法的拘束力を生じるので、別途訴訟に持ち込むことはできないので、注意が必要です。
なお、仲裁判断が示されたが、相手の財産が日本にない場合や相手がその判断に従わない場合は、その仲裁判断に基づき相手国において執行手続を執る必要があります。
仲裁判断の強制執行は、仲裁合意書の原本、仲裁判断の原本、これらの原本の翻訳文に当該外国領事館の証明を受けたものを執行地の裁判所に提出し、強制執行の判決を受ける必要があります。
執行地の弁護士等の専門家に協力を仰ぐ必要がありますので、強制力があるという意味では有益な制度ですが、実際の執行の段階まで踏まえると、現実的には利用することが難しい場合も相当程度あります。
4 訴訟
上記の各方法で解決できない場合は、訴訟を提起することを考える必要があります。
もっとも、訴訟の裁判管轄や適用される法律がどこの国の法律となるのか、等の問題が仲裁の場合以上にありますので、訴訟を行う場合には、専門家の協力を得ることは必須です。
以上、国際取引で発生する取引のトラブルの解決方法をご紹介いたしましたが、トラブルが発生した場合には、専門家にご相談いただいた上で、どのような対応を取るべきかを慎重に検討いただくことをお勧めいたします。
原産地基準について
特恵関税等の優遇措置を受けるためには、輸入貨物が原産地基準を充足する必要があります。
原産地を認定する基準としては、WTO原産地規則に関する協定第9条第1項(b)において、「特定の物品の原産地であると決定される国は、当該物品が完全に生産された国又は、最後の実質的な変更が行われた国のいずれかとすることを規定すべき」としており、この考え方が日本を含め世界の多くの国で原則的な考え方として採用されているのが実情です。
以下では、日本で採用されている原産地基準をご紹介いたします。
1 原産地基準について
(1)完全生産品基準
一つの国において完全に生産されることを要件とするもので、主に農産品や鉱業品などに適用されております。
(2)実質的変更基準
物品の生産に2カ国以上の国が関与している場合、当該物品に最後に実質的変更を加えた国を原産地とする基準で、さらに以下の三つの基準があります。
①関税番号変更基準
関税分類番号(HSコード)の変更を実質的変更とみなす基準のことを指します。
関税分類番号は、上2桁を「類」、上4桁を「項」、上6桁を「号」と区別されます。そして、日本では、上4桁「項」の変更基準を採用しております(関税法施行規則第1条の6、関税法基本通達68-3-5)。
②付加価値基準
物品の調達、生産、加工等の作業に伴って付加された価値を価額換算し、当該付加価値が一定の基準値を超えた場合に、実質的変更があったとみなす基準です。
③加工工程基準
特定の生産・加工工程が実施された場合に実質的変更がなされたとみなす基準です。
具体的な条約内において、上記の内のどの基準が採用されるかが規定されているので、実際にどの基準が採用されているかを判断するためには、条約の内容を詳細に確認する必要があります。
例えば、シンガポールとの間のEPAにおいては、関税番号変更基準が原則とされておりますが、化学製品等特定の品目の貨物については、付加価値基準を用いることもできると規定されております。
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出入トラブルや通関トラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出入トラブルや通関トラブルでお困りの方やご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。
原産地規則について
原産地規則とは、輸入又は輸出される貨物の原産地(原産地とは、ひとまず、貨物の「国籍」のこととイメージいただければ大丈夫です。)を決定するために用いられるルールのことです。
このような原産地規則は貨物を輸入する際には非常に重要なルールとなりますが、輸入者は、輸入通関手続を通常通関業者に委任することが多いので、このような原産地規則までは理解していないことがほとんどであるものと思います。
もっとも、何かトラブルが発生した場合には輸入者自身が対応する必要が生じる場合もありますので、概要程度であっても原産地規則を理解しておいた方がよいものと考えられます。
以下では、原産地規則の概要をご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。
政策目的に応じて、原産地規則は、以下の1及び2のとおり大別されます。
1 特恵原産地規則
特恵原産地規則とは、輸入品に特恵関税を付与するために利用する規則で、以下の(1)及び(2)に分類されます。
(1)一般特恵関税(GSP)を適用するための原産地規則
開発途上国に対する一般特恵関税制度に基づく税率の適用対象となる貨物であるかどうかを決定するための規則のことを指します(関税暫定措置法施行規則第8条、第9条及び別表等)。
(2)自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)の税率を適用するための規則
自由貿易協定(FTA)とは、特定の国や地域の間で、物品の関税やサービス貿易の障壁等を削減・撤廃することを目的とする協定のことを指します。
他方で、経済連携協定(EPA)とは、貿易の自由化に加え、投資、人の移動、知的財産の保護や競争政策におけるルール作り、様々な分野での協力の要素等を含む幅広い経済関係の強化を目的とする協定のことを指します。
日本が自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)を締結している国や地域は、シンガポール、メキシコ、マレーシア、チリ、タイ、インドネシア、ブルネイ、ASEAN全体、フィリピン、スイス、ベトナム、インド、ペルー、オーストラリア、モンゴル等です。
2 非特恵原産地規則
非特恵原産地規則とは、1以外の目的のために利用されるもので、例えば、WTO協定税率の適用や貿易統計計上等のための規則等があります(関税法施行規則第1条の6及び第1条の7等)。
上記の原産地規則においては、それぞれ原産地基準が規定されており、実際に貨物を輸入する際には、原産地基準の内容を確認することが必須です。
3 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出入トラブルや通関トラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
原産地規則に関する問題をはじめ、輸出入トラブルや通関トラブルでお悩みの方、ご不明な点やご不安な点等ございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。
代表的な輸入関連書類について
ビジネスで貨物を輸入する際に必要となる書類は複数あります。
通常は、貨物の輸入は通関業者依頼し、通関業者からの指示に沿って書類を提出すれば、あとは通関業者が適切に輸入申告をしてくれます。
そのため、どのような書類が、輸入申告においてどのような意味合いを持っているのか、ということに関してまで明確には認識することができていないケースも多いのではないでしょうか。
そこで、本日は、概要にとどまりますが、輸入申告を行う上で特に重要な書類についてご紹介いたします。各書類の内容等はまた、別の機会にご紹介できればと思います。
1 インボイス(送付状、仕入書、請求書等と呼ばれる場合もあります)
通常は、貨物の購入者(輸入者)に対してメーカー側が発行する納品書兼請求書のことを指しますが、送付状や見積もり段階で発行される場合もあります。
代表的なものとしては、プロフォーマーインボイスとコマーシャルインボイスの2種類があります。
2 パッキングリスト(梱包明細書)
貨物がどのように梱包されているのか、梱包の数はいくつなのか、梱包の番号と内容、大きさと重量はどうなっているのか、梱包の外装に書かれたマーク(荷印)はどんなものなのか、といった梱包の状況や梱包された貨物の内容等を把握することを目的として作成される書類です。インボイスだけでは、実際の貨物の状況が分かりませんので、インボイスとあわせて輸入申告の際には提出されることになります。
3 運送書類(B/L、AWB)
船便輸送の場合のB/L(船荷証券)は、輸入取引に関する書類で最も重要なものの一つです。なぜなら、この書類と引き換えに、貨物を受領することができるからです。
なお、航空便の場合の航空貨物輸送上はAWBといいます。
4 原産地証明書
特恵関税等、税制上の優遇等を受けるために必要な書類です。
5 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が、輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出入トラブルや通関トラブルを幅広く取り扱っております。
輸出入トラブルや通関トラブルでお困りの方や、ご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。